事務職への転職は人気があり、倍率が高く難しいことで知られています。

事務職には多くの種類があり、代表的なものとして一般事務、営業事務、総務、人事、経理などがありますが、人気なので簡単に転職できる訳ではありません。

そういう私もかつては大手食品メーカーの総務で一般職として4年間勤務し、ベンチャー企業の総務へ転職しました。そこでいくつかの転職サイト(転職エージェント)を利用し、自分の希望条件に見合う求人を見つけるために必死に転職活動に取り組みました。

今でこそ転職に成功し、ベンチャー企業の総務で働いていますが、転職活動に失敗し、挫折した経験もあります。実際のところ何も意識しないで転職活動に取り組めば、私のように転職活動に失敗し、後悔することになります。

そこでここでは、事務職の転職を成功させるためには、どのような方法で転職活動に取り組めば良いのかを私の体験談をもとに解説していきます。

大手企業の一般事務職として総務へ配属

私の地元は兵庫県の田舎町で、中学・高校と地元で暮らし、大学入学と同時に上京しました。

兄は理系でしたが、私はとにかく数学が苦手だったため、文系の高校・大学に進学し、周りの友人と合わせるように大学3~4年生にかけて就職活動を行いました。

特にこれといって明確にやりたいことがあったわけではありませんが、「人を支える仕事がしたい」という思いがありました。そこで組織活動のサポート役として活躍できる事務職を中心に大手企業から中小企業まで50社ほどの会社にエントリーして就職活動に取り組みました。

当時、日本の景気も上向きになっていたことが功を奏し、中小企業の事務職で数社と大手食品メーカーの一般職に内定しました。

そのときは少しミーハーな部分もあり、「中小企業よりも大手企業の方が安定している」といった単純なイメージから最終的に大手メーカーの一般職へ入社することを決めました。

大手企業特有の組織体質に疑問を感じる

まず、新卒の一般職として配属された部署は総務部でした。そこでは毎年6月に行われる株主総会の運営準備や取締役会の運営準備、社内規程の改訂作業、社内イベントの企画・準備など事務手続きが複雑なものから簡単な事務作業で済むものまで様々な事務手続きを経験しました。

配属された当初は、すぐに株主総会の準備に向けて組織が動いていたため、慣れない仕事の手順を覚えたり株主総会の仕組みを覚えたりすることで必死だった記憶があります。そうして働き出して2年が経つ頃には、仕事にも慣れて自発的に資料作成を行い、あらかじめ予定を組んで事務手続きを進めることができるようになっていました。

ただ、仕事が慣れてくるに連れて大手企業特有の組織体質に疑問を感じるようになりました。例えば、業務上のミスや不正な取引を防ぐため、契約書の締結など事務手続きの内容によっては上司の判断が非常に慎重になり、決断が遅くなることが往々にしてあります。

そのため、期限付きの事務手続きを進めたくても検討中であることを理由に期限ギリギリまで手続きを待たされることもあれば、1つの書類手続きを進めるために考え方の違う何人もの上司の承認を得なければいけないこともありました。

私の中ではどう考えても効率が悪いと思ってしまう仕事を繰り返すことで、そのような組織体質に次第に疑問を感じるようになっていました。

社会人として仕事のルールを守ることは当たり前と言われればそれまでですが、何人もの上司の顔色を伺いながら仕事を進めなければいけないことについて、どうしても素直に受け入れることができなかったのです。

また、大手企業のブランドの恵まれた環境に浸ってあまり精力的に仕事をしない年配の上司が何人もいました。正直、このような上司がなぜ自分よりも多い給料をもらっているのだろうと思い、仲の良い同期同士で愚痴(ぐち)を言い合うこともしばしばありました。

しかしながら、愚痴を言っているだけでは私自身何も成長できないと感じ始め、仕事の環境を変えることで納得のいく仕事ができるのではないかと次第に考え始めるようになりました。そうして日が経つに連れて、気付いたときには転職を意識するようになっていたのです。

転職を決意するも、家族から猛反対される

ただ転職を意識するようになってから、実際に転職を決断するまで時間が掛かりました。「転職したい」という気持ちと「転職が不安」という気持ちが葛藤したからです。

また、大手企業のように恵まれた環境を捨てることは非常に勇気が必要でした。例えば、私が所属していた大手食品メーカーでは福利厚生が充実し、家賃補助や昼食の補助が支給され、交通費も全額支給でした。このほか、サービス残業もほぼなく確実にボーナスが支払われるため、贅沢しなければ十分貯金ができるだけの給料をもらっていました。

そのため、規模の小さい会社だと仕事にやりがいを持てるかもしれませんが、福利厚生や待遇面では大手企業の方が恵まれていることは明らかでした。

このような状況を応援してくれる仲の良い友達は何人もいましたが、逆に味方であってほしい家族が転職の決断を引き留める存在となりました。

私の口から転職の話を聞いた家族は心配のあまりに「せっかく大手企業に就職したのにもったいない」「冷静に考え直して、現実を見た方が良い」と何度も考え直すように説得してきました。

確かに我慢すれば働き続けることは可能だったかもしれません。しかし、このとき既に私の心の中では「たとえ年収が下がっても、仕事にやりがいを感じられる会社へ転職したい」という気持ちが強く芽生えていました。

このように家族からの反対はあったものの、結果的に自分の気持ちを優先させて転職活動に踏み切ることにしました。当時は実家を離れ一人暮らしであったことから、退職してから転職活動を行うのは資金繰り的にも厳しいと考え、仕事を続けながら転職活動を始めることにしました。

1人で転職活動に取り組み、内定が出ず諦める

転職活動の方法は誰からも教わったことがなかったため、まず始めはインターネットで情報収集しながら転職活動に取り組み始めました。

求人へのエントリーで必要となる履歴書や職務経歴書の書き方なども、インターネットで検索すれば参考になりそうなサイトがいくつかありました。この頃には転職サイトの存在は知っていましたが、当時の私は「転職先は自分で決めたい」という思いから、全て自分で調べながら転職活動に取り組んでいました。

働きながらの転職活動であったため、仕事が終わった後に取り組む転職活動は、まさに時間との闘いでした。数ある求人情報の中から特に気になった求人を選び、何時間も費やしてエントリーする企業ごとに履歴書や職務経歴書を作成しましたが、結果的に書類選考はほとんど通過しませんでした。

また書類選考が通過しても、これまで転職の経験がなかったため、緊張のあまり「なぜ、大手企業に勤めているのに転職したいのか」「なぜ、この会社に転職したいのか」といった面接官からの質問に対して正確に答えることができていませんでした。

それでも応募する企業ごとに志望理由を考えてエントリーし続けてみましたが、不採用の結果が続くに連れてモチベーションが段々と下がり、仕事が忙しい時期に入ると同時に一旦転職活動を諦めてしまいました。

そうしていると、同僚で中途採用の男性が事務職(経理)で採用されてきました。そこで、彼から話を聞いてみることにしました。

私が狙っている総務職と職種は違うものの、転職先が決まるまでに2ヵ月もかからなかったという事実を知り、かなりショックを受けました。転職活動に取り組み始めて半年経っても内定が出ていない私とは違い、たった2ヵ月でどのようにして転職先が決まったのか知りたいと率直に思いました。

そこで昼食に連れ出し、私が転職を考えていることは隠しつつ、食事しながら実際に転職サイトを活用したときの様子を聞いて内容を理解することができました。

  • 転職サイトは無料で利用することができる
  • 多くの求人情報を手に入れるために、複数の転職サイトを利用した方が良い
  • 1人で転職活動するよりも効率良く転職活動に取り組むことができる

実際に話を聞くまでは、転職サイトを利用することのメリットを全く理解していなかったのですが、話を聞いて1人で転職活動に取り組み続けていたことを後悔しました。

複数の転職サイトに登録し、転職活動を再開

そうして一連の話を聞いた後、諦めかけていた転職活動を再開することを決心しました。ただ、私にとっては転職サイトを利用することも初めての経験でした。そのため、どうしても転職活動に失敗したくないという気持ちが強く、利用する転職サイトは慎重に選びました。

また、実際に利用してみないと分からないことが多いことや他の転職サイトと比較しながら転職活動を進めた方が良いとアドバイスを受けたことから、結果的に以下の4社の転職サイトに登録しました。

  • doda(デューダ)
  • マイナビエージェント
  • パソナキャリア
  • リクルートエージェント

まず、実際に転職サイトを使ってみての感想ですが、1社のみの登録だと他の転職サイトと比較のしようがないため、それぞれの転職サイトの特徴や優れた点を知ることはできません。

そのため、複数の転職サイトを利用することで、「紹介してくれる求人数が多い」「面接対策や条件交渉に力を入れている」「出産や育児など女性特有の悩みを相談しやすい」など、転職サイトごとに特徴の違いがあることを実感しました。

また、それぞれの転職サイトで担当してくれるキャリアアドバイザーの質は違い、優秀なキャリアアドバイザーもいれば中には気が合わないキャリアアドバイザーもいます。

なお、どのようなキャリアアドバイザーが担当者になるかは運次第ですが、必ずしも優秀なアドバイザーが担当してくれるとは限らない以上、複数の転職サイトを利用した方が良いです。

実際に担当してくれたキャリアアドバイザーの中には、学生時代の経歴から社会人としての経験まで興味を持って話を聞いてくれたり、「どうして転職したいのか」と私の本音の気持ちを引き出してくれたりして、非常に丁寧な対応してくれた人もいました。

しかし一方で、転職の条件を伝えても的外れな求人を紹介してくるキャリアアドバイザーもいました。

私としては人生の大きな節目となる転職は絶対に後悔したくないという思いから、登録した4社の転職サイトのうち相性の悪かった転職サイトは途中から利用を辞めて、最終的には特に相性の良かった2社の転職サイトに絞って転職活動を進めていきました。

キャリアアドバイザーの一言で、ベンチャー企業への転職を決意

なお、1人だけで転職活動を始めた当初は大手企業ではなく、同じ職種の総務でも人事や経理など幅広い仕事が経験できる中小企業へ転職したいと考えていました。また、このとき考えていた転職の希望条件は以下のような条件でした。

  • 人事や経理など幅広いスキルを身に付けたい
  • 大手企業ではなく、中小企業へ転職したい
  • できる限り年収は下げたくない

ただ後からキャリアアドバイザーから聞いて知ったのですが、中小企業といっても総務を含めた事務職は人気があり、倍率が非常に高いことを教えてくれました。応募者はどれぐらいの応募数があるのか知ることはできませんが、都内の事務職だと1人の募集に対して50人以上からの応募は普通のようです。

このように、自分が理解していない転職の事情を丁寧に教えてくれたキャリアアドバイザーから面談の後に「中小企業の中でも、ベンチャー企業への転職を考えてみてはどうか?」と提案されました。

しかしこのとき、ベンチャー企業のことは何となく知っているものの、ベンチャー企業への転職はまったく考えていませんでした。そのキャリアアドバイザーが私にベンチャー企業への転職を勧めた理由は、以下のような理由からでした。

  • スピード感のある仕事を経験できる
  • 新しいことに挑戦できる環境がある
  • 任される仕事の範囲が広く、スキルアップできる

提案をくれたキャリアアドバイザーは私との面談の内容から、新たな仕事を自らこなせるベンチャー企業の総務の方が向いていると判断したとのことでした。勝手なイメージですが、その当時はベンチャー企業といえば少数精鋭で激務のイメージを持っていました。

しかし、担当のキャリアアドバイザーは「決して全てのベンチャー企業でそのようなことが当てはまるわけではない」と教えてくれました。

またベンチャー企業の中でも「ある程度事業が安定化し、事業拡大を目指して勢いのあるベンチャー企業(ミドルステージのベンチャー企業)であれば、起業したてのベンチャー企業よりも安定した環境の中で仕事に取り組むことができる」といったアドバイスまで受けました。

このようにキャリアアドバイザーからのアドバイスを受けることで、「ベンチャー企業の総務へ転職」という新たな可能性を見つけることになりました。

しかしながら、ベンチャー企業へ転職することによって「年収が下がってしまうのでは」という不安な気持ちは拭い切れず、収入をできるだけ下げずに転職したいことを担当のキャリアアドバイザーに正直に相談しました。

当時の私の年収は残業代も含めて約450万円でしたが、起業して間もないベンチャー企業だと転職によって年収が下がってしまう可能性が高いことから、ミドルステージにあるベンチャー企業を中心に求人を探してくれました。

また、面接まで進むことができれば年収の交渉まで行ってくれるとのことだったので、そこからは紹介を受けたベンチャー企業の求人の中から気になる会社の総務へ転職することを目指し、履歴書と職務経歴書の作成に取り掛かり始めました。

転職サイトは採用選考の強い味方になる

実際に転職サイトを利用すると分かりますが、担当するキャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書の丁寧に添削してくれます。

特に志望動機の内容は応募する企業ごとに変えなければいけないため、自分のこれまでの経験を振り返り応募する企業ごとに活かせるスキルや強みを考えるのは、かなりの労力を必要とします。

1人だけで転職活動に取り組む場合、作成した志望動機が正しい内容であるのかも判断することは難しいですが、転職サイトを利用すれば違う目線から志望動機の内容についてアドバイスを受けられます。

また、私が苦手とする面接についても「なぜ、ベンチャー企業の総務へ転職したいのか」「応募先の企業で活かせる強みは何か」といった想定質問に対する対応方法についても一緒に考えてくれます。そのため、1人だけで転職活動を進めるよりも精神的に負担は軽くなります。

私の場合、大手企業の総務で株主総会運営事務や社内規定の作成・改訂事務など、大きな組織の総務事務を経験してきた強みがありました。そこで、組織拡大を目指すベンチャー企業で活かせる経験や強みについてキャリアアドバイザーのアドバイスをもとに志望理由を固めていきました。

そうしてキャリアアドバイザーの支援を受けながら転職活動を進め、気になるベンチャー企業の求人を4社に絞り込み、結果的にITベンチャー企業の総務へ転職することが決まりました。

転職先として選んだベンチャー企業(現在の職場)の社長は、とても気さくな人柄で、面接時も「なぜ、わざわざ大手企業からこの会社を選んだのか?」といった想定していた堅苦しい質問はなく、日常会話のように面談が進んだのを今でもはっきりと覚えています。

転職に成功してから仕事にやりがいを感じる

正直言うと、食品メーカーから全く違う業界への転職は不安もありました。IT業界特有の専門用語や人事、経理の仕事を覚えるのに入社後は苦労しましたが、仕事のこなし方に慣れてきた今ではやりがいを持つことができています。

また残業時間は転職前よりも増えたことは事実ですが、メリハリがあるので特に不満を感じることはありません。気になっていた年収についてもキャリアアドバイザーが交渉をしてくれたおかげで転職した直後は年収が少し下がりましたが、現在では転職前の企業とほぼ同じ収入を実現しています。

このように私の場合、転職サイトのキャリアアドバイザーのおかげで転職活動前には考えもしなかった「ベンチャー企業の総務への転職」といった新たな可能性を引き出してくれました。

転職によって「自ら仕事で意思決定でき、決まりきった仕事で終わらせないこと」が私の転職する最大の目的でした。これを達成できたのです。

もちろん、事務転職を目指す人それぞれ転職理由は違います。「育児に理解のある職場へ転職したい」「人事の管理職の求人を探している」など人それぞれです。そうしたとき、転職サイトのキャリアアドバイザーに転職したい理由を本音で相談することで、自分に見合う求人を見つけることができます。

こうしたことを理解した上で複数の転職サイトを活用し、理想の求人が見つかるまで転職活動を続けることが重要です。

重要なポイントを押さえて事務転職を成功させる

私の場合、ここで述べてきた経緯で大手食品メーカーの総務からベンチャー企業の総務へ転職しました。

転職活動開始直後は、正直分からないことだらけでした。1度は転職を諦めて挫折した失敗談もありますが、こうした失敗を経て転職サイトを活用することで理想の転職先を見つけることに成功しました。

実際に今の転職先が見つかるまで時間がかかりましたが、転職活動の経験を通して理解した重要なポイントは以下3つの点です。

  • 3社以上の転職サイトを利用することは必須
  • 相性が良い優れたキャリアアドバイザーを絞る
  • 提案してくれた求人の中から希望の転職条件を満たせる企業を見極める

実際に転職サイトを利用してみて実感しましたが、担当に付くキャリアアドバイザーによって提案してくる内容は違います。

転職の理由や転職の希望条件をしっかりと聞いてくれるキャリアアドバイザーもいれば、機械的に希望条件に当てはまる求人を紹介してくるようなキャリアアドバイザーもいます。そのため、3社以上の転職サイトに登録することが事務転職で失敗しないコツです

また転職を考えるに至った経緯や転職を検討している人の価値観も人によって違うため、実際に転職サイトを利用してみて、あなたと相性の合うキャリアアドバイザーを絞って転職活動すると良いでしょう。

私は事務職の中でも総務の転職を実際に経験しましたが、このような転職体験談が事務職の転職で悩む人の役に少しでも役立てることができればと思います。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。