株主総会の実務に関わりながら転職したいと考える人は多いです。

株主総会の運営は会社法の規定に沿って、どの業界の会社も同じような業務をこなします。そのため、株主総会の運営実務は汎用性(はんようせい)の高いスキルといえます。

ただ株主総会の一連の手続きは会社法の専門的な知識や理解力が必要なため、転職するには相応の実務経験と実務スキルが求められます。

また株主総会は1年中開催されるものではないため、求人を見るときは株主総会以外の仕事にも注目しなければいけません。

そこで株主総会に関わる総務・法務・経理部門の仕事内容や求められるスキルについて、実際の求人例を見ながら解説していきます。

株主総会の運営・準備に大きく関わる3つの部門

会社の規模や経営方針によって株主総会に関わる部署は変わりますが、基本的には下記3つの部門が大きく関わります。

  1. 総務
  2. 法務
  3. 経理

それぞれの部門で株主総会の運営に関わる実務が大きく異なります。

そのため株主総会に関わる転職先を探すときは、それぞれの部門の仕事内容や求められるスキルについて理解する必要があります。

株主総会に関わる総務の仕事内容と求人例

株主総会を開催するとき、総務は株主総会の運営事務局として役目を果たすことになります。

例えば定期株主総会を開催する場合、決算日から約3か月間は株主総会の運営事務局として準備業務から株主総会当日の運営、事後処理まで一連の全ての手続きに関わることになります。

ただ株主総会の一連の手続きは会社法の規定に沿って進めるものが多く、どの業界の会社も同じような仕事をこなすことになります。

また株主総会は年中開催されるものではないため、株主総会の運営事務局として機能する期間は限定的であるといえます。そのため総務では株主総会が開催されていない期間は、当然ですが別の仕事をこなすことになります。

なお、どのような仕事を担当するかは会社の規模や経営方針によって変わります。そこで総務へ転職を考える場合、株主総会以外の仕事内容にも注目しながら応募する求人を選ぶ必要があります。

例えば、下記の求人票は東京に本社があるマザーズ上場企業の総務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会の運営以外にも入社者(新入社員)の備品準備や全社決起会などのイベント企画運営、消防計画に関わる業務など多岐に渡る業務を担当することになります。

そのため株主総会の業務で必要となる会社法の知識だけでなく、それ以外にも覚えなければいけない仕事内容が沢山あることが分かります。

では、他の総務の求人事例を見て仕事内容を比較してみます。例えば、下記の求人票は東京に本社があるジャスダック上場企業の総務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会の運営業務以外に、登記、会社法届出関連補助、社内規程管理業務、関係会社管理業務といったように先に紹介した総務の求人とは全く異なる仕事内容であることが分かります。

また3人以上の取締役から成り立つ取締役会を設置している会社の場合、会社法の規定に沿って取締役会を3ヶ月に1回以上開催しなければいけません。そのため株主総会に加え、取締役会運営のサポートも総務が行うことになります。

もしスキルアップを目指して総務へ転職を考える場合は、株主総会以外にどのような仕事を担当することになるのかまで視野を広げてチェックしなければいけません。

株主総会運営事務局の総務で求められるスキル

なお株主総会運営事務局を担う総務の求人に、どのような応募条件があるのか転職前に知っておくことは重要です。

実際には株主総会の運営事務は、会社法の専門知識と実務経験がないと即戦力として活躍することができません。そのため、総務の求人では株主総会運営の実務経験者を求める企業が多いです。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある不動産コンサルティング企業の総務の求人募集になります。

このように株主総会の運営を担当する総務の求人では、応募の必須要件として株主総会運営実務経験者を求める企業が多いです。

また上記求人のように上場企業である場合は株主数が多い分、株主総会の運営事務も膨大になります。そのため、同じような上場企業の株主総会経験者を求める企業もあります。

さらに上記の求人へ転職する場合は不動産業界への転職となるため、入社後に宅地建物取引士資格(宅建)を取得することが必須条件となります。

しかしながら、株主総会に関わる総務の求人すべてで株主総会運営実務経験者が求められる訳ではありません。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある東証一部上場企業の総務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会運営を担当することになるものの、応募の必須要件は社員200名以上の会社での総務実務経験となります。

このことから株主総会に関わる総務の求人であっても、応募する企業によって求められる人材スキルは企業ごとに違うことが分かります。

そのため、あなたのこれまでの実務経験の内容と将来的なビジョンを照らし合わせながら、最適な求人を探すことが重要です。

株主総会に関わる法務の仕事内容と求人例

では、法務部門は株主総会にどのように関わっているのでしょうか。

法務担当者は、株主総会の準備から運営まで会社法の規定に沿って滞りなく進行できているかどうか法的な観点からチェックする役割を果たします。

会社法の規定に違反して株主総会を運営した場合、当然ですが罰則規定があり、さらに法令に違反した会社は世間から信用を失うことになります。

例えば、大手上場企業であれば会社法の規定で株主総会開催の2週間前までに招集通知を発送する義務があります。細かいですが、1日でも期限を過ぎると法律違反となります。

そのようなリスクを回避するために法務担当者は、株主総会の一連の手続きが法律に抵触することなく進行するように運営事務局を補佐する立場として活躍します。

ただこれまでにも説明したとおり、株主総会は年中開催されるものではないため、法務担当者は株主総会の開催時期以外にも企業法務に関わるさまざまな仕事をこなすことになります。

例えば、下記の求人票は長野県に本社がある東証一部上場企業の法務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会に関わる仕事もありますが、その他にも契約管理や訴訟・係争対応、リスク管理・コンプライアンス関連業務など企業法務に関わる仕事もこなすことになります。

このように法務では株主総会も含め、企業活動が会社法や民法、あるいは商法の規定に抵触することがないように法律の知識を活用した業務を担うことになります。

また、他の法務の求人事例についても見てみます。例えば、下記の求人票は東京に本社があるマザーズ上場企業の法務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会の運営補助をしつつ、契約書対応、従業員からの法律相談対応、登記申請、弁護士相談など多くの企業法務に関わる仕事をこなすことになります。

法務も総務と同じく株主総会の運営に関わりますが、法務の役目は会社法に抵触しない株主総会の運営ができるように法律の専門的な知識を活用したサポートになります。

また企業法務に関して、法務担当者がどの範囲まで担当することになるかは転職する企業の経営方針によって変わることを認識しておきましょう。

株主総会に関わる法務で求められるスキル

ここで実際に株主総会に関わる法務の求人では、応募条件として具体的にどのようなスキルが求められるのかについて見ていきます。

総務では株主総会実務経験者を応募条件として求める企業が多いと上記で紹介しましたが、法務の求人の場合はそうではなく、法務実務経験者を求める企業が多い傾向にあります。

法務の担当者は、株主総会に関わる会社法だけでなく企業活動の利害関係に関わる民法、商法などの専門的な法律に関わりながら仕事をこなす場面が多いからです。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある東証一部上場企業の法務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職する場合、法務実務経験が3年以上であることが応募の必須条件となります。

このように株主総会に関わる法務へ転職する場合は株主総会実務経験者ではなく、法律の知識を活用して実務経験を積み上げてきた法務実務経験者を求める企業が多いです。

また、中には商事法務(ビジネス法務)の実務経験者や知的財産関連業務の経験者、契約関連業務経験者といった法務実務経験者を求める企業もあります。

このことから株主総会に関わる法務へ転職する場合、株主総会関連業務の実務経験者よりも企業法務経験者を求める企業が多いという事実を押さえておきましょう。

株主総会の招集通知に大きく関わる経理

これまでにも説明したとおり、株主総会の運営事務局は総務が担いますが、一連の手続きの流れで経理が大きく関わります。

特に株主総会で報告する計算書類の作成については決算数値を扱う専門分野となるため、経理部門が作成することになります。

この計算書類は、総務で準備する株主総会の招集通知の添付資料になります。そのため、招集通知の発送の際は計算書類の作成部数の確認など、総務と経理の連携が必要になる場面もあります。また中には、経理が株主総会の運営事務局として機能している会社も存在します。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある東証一部上場企業の経理・財務職の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株主総会・取締役会等の運営事務局を担当しながら、日常経理、月次・四半期・年次・連結決算、予実管理等の管理会計など経理や財務に関わる業務にも携わることになります。

基本的に株主総会の運営事務局は総務が担う会社が多いですが、企業の経営方針によっては経理が担当することもあります。また3月決算の会社である場合、その会社の経理部門は4月から5月にかけて決算作業で忙しい時期に差しかかります。

例えば、4月は決算数値を整理しながら財務諸表を作成し、5月には法人税や消費税の確定申告といった納税作業まであります。

さらに上場企業の場合は上記の仕事に加え、決算短信や有価証券報告書の作成まで経理部門が担うことになります。

このように経理部門は株主総会に関わる計算書類以外にも会社自体の決算に関わる業務を同時並行でこなすため、決算日後3ヶ月間はかなり忙しい時期といえます。

IPO(新規株式公開)準備企業の求人も狙い目

未上場から株式上場を目指す企業では、株式上場に必要な申請手続きのほかに監査法人による会計監査や証券会社の審査に対応するなど専門的な知識や実務スキルが必要になります。

未上場の企業が株式上場を果たすには少なくとも2年半から3年程の期間が必要であり、IPOの実現までに膨大な業務をこなさなければいけません。

そのため、IPO準備企業では専門的な実務スキルと知識を兼ね備えた即戦力となる人材を求める企業が多いです。

例えば、下記の求人票はIPO準備に関わる総務・法務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職する場合、総務業務遂行に必要な法律知識、経理知識のある人材、法律業務に関する幅広い知識がある人材、IPO準備実務経験がある人材の3つの条件が採用の必須要件となっており、求められる人材スキルのレベルは非常に高いといえます。

すべての求人でIPO準備実務が必須要件となっているわけではありませんが、IPO準備企業の求人では、IPO準備実務経験者が求められる傾向にあります。

もしこれまで株主総会だけでなく株式に関わる実務、さらにIPO準備実務に携わってきた人であれば、株式上場を目指す企業の求人も狙い目となります。

ただIPO準備企業の求人数は非常に数が少なく、このような高度な専門性が求められる応募資格に合致する人材は限られるのが現状です。

株主総会運営実務やIPO準備実務の専門性を磨くのは大きなメリット

ここまで解説してきた株主総会運営実務やIPO準備業務は、経験を積み重ねることで専門性を磨き上げることができます。

株主総会運営では会社法の専門的な知識が要求され、IPO準備業務では監査法人との折衝や業務プロセスの策定など、専門性が高いだけに大変な業務であることは確かです。

ただスキルアップのために勉強して全体の流れを把握することで計画性が身に付くため、繰り返し実務経験を積み上げれば確実に実務スキルは磨かれていきます。また株主総会運営やIPO準備業務は規模が大きい業務だけに、決して1人だけで仕事を進めるものではありません。

仕事の性質上、所属している部署を超えて何人もの従業員と協力しながら仕事を進めることになりますが、そのような経験を積み重ねることで業務の専門性を高めることに繋がります。

結果的に株主総会やIPO準備業務は専門性の高い業務だけに経験を積み上げた人材は貴重であり、即戦力を求める求人から高く評価されることになります。

転職サイトをうまく活用して、株主総会に関わる

会社によって株主総会の運営規模は違いますが、転職するなら株主総会がしっかりと運営されている企業へ転職したいと考えるでしょう。

また株主総会の運営に関わる求人であっても、総務・法務・経理といった異なる職種の業務が関わることになるため、それぞれの職種によって求められる人材スキルは違います。

このような複数の求人の中から自分の条件に見合う求人を絞り出す作業は多くの時間を要してしまい、働きながら転職活動する人にとってあまり現実的ではありません。

そこで株主総会の運営に関わる総務や法務へ転職したいと考えている人は、転職サイトを有効に活用しながら転職活動に取り組むとよいでしょう。

転職サイトではあなたのこれまでの実務経験の内容や希望する条件を考慮し、最適な求人が見つかるまで一緒に探してくれます。

ただ転職サイトの担当者との相性があることや、より多くの求人情報を手に入れた方が希望どおりの求人が見つかりやすいことを考慮し、登録は1社に絞らず3社以上の転職サイトに登録しましょう。

また仕事内容や年収、勤務地など転職を希望する人によって条件が違うため、あなたの希望する条件は包み隠さずに転職エージェントに相談するようにしてください。

そうすることで、数ある求人の中からあなたの希望条件に最も近い求人を見つけ出すことに繋がるのです。

株主総会だけにこだわらず、スキルアップを目指せる求人へ転職する

株式会社の最高意思決定機関として機能を持つ株主総会運営に携わることで、仕事にやりがいを持つ人は多いです。株主総会運営は会社法の規定に沿って手続きを進める性質上、専門的な知識や実務スキルが求められる特殊な業務ともいえます。

ただ株主総会は年中開催されるものではないため、総務事務の一部であるという認識を持つことが大切です。

また株主総会は運営事務局の総務だけでなく、法務や経理など多岐に渡る職種の従業員が関わることで適切に運営されています。そのため、あなたがこれまで経験してきた実務経験の内容や実務スキル、また転職後のビジョンによって応募する職種も変わります。

特に総務と法務は応募する求人ごとに仕事内容や求められるスキルが異なるため、ここで述べたポイントを押さえながら効率よく転職活動に取り組むとよいです。

そうして諦めずに転職活動を続けることで、必ずあなたの適性に見合った求人を見つけることができます。

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