総務の経験者が転職を検討するとき、後悔するような転職だけは避けたい思うでしょう。
転職後に後悔し、再度転職を検討してしまうようでは転職する意味がありません。そのため、正しい転職の知識を持って求人を探さなければ、いつまで経っても理想の転職先を見つけることはできません。
また、いくら経験者とはいえ何となく転職活動をしても成功することはありません。そうではなく総務の経験者であるからこそ、目先の条件だけで転職先を判断せず戦略的に転職活動に取り組まなければいけません。
そこでここでは、総務の経験者が後悔しない転職を実現するために必要な知識について解説していきます。
もくじ
総務経験者が転職するにはどのようなスキルが必要か?
総務の経験者として転職を検討する人の多くは、基本的にこれまでの勤務先でしか評価を受けたことがないはずです。そのため、自身の即戦力スキルを正確に把握しないまま転職に挑み、失敗する人がいます。
いくら経験してきた総務事務の内容をアピールしても応募先の企業が求めるスキルがなければ、「株主総会運営事務の経験、知識が豊富な人材を獲得したいのだが…」と、ミスマッチが起こるのです。
また、具体的にどのような総務のスキルが求められるのかは応募する企業によって違うため、自身の強みや得なことを活かせる求人を見極めていくことが重要になります。
総務の専門性を高めたいのか、幅広い総務事務を経験してマルチなスキルを身に付けたいのか、頭の中で整理してから転職活動を始めなければいけません。
客観的に自己分析し、自分の市場価値を知る
総務の実務経験を積み上げてきた人でも、いざ転職となると「転職先でどのように活躍できるのか」をうまく伝えることができずに悩む人が多いです。基本的に転職では即戦力が求められるため、応募する企業があなたを採用するメリットを的確に伝える必要があります。
例えば、客観的な分析が足りない状況で応募しても、採用する側の面接官から「採用後に、どのように即戦力として活躍できるのか具体的にイメージできない」と判断され、不採用となる確率が高いです。
そのため、これまでの実務経験から以下に示す内容を洗い出し、客観的に自己分析してみましょう。
- 経験してきた総務の組織体制
- 経験してきた総務の実務内容
- 実務経験を通して身に付けたスキル
- 総務事務の経験で特に力を入れきたこと
このように、客観的に分析した自分の経験やスキルを活かせる求人へ応募することで転職を実現することができます。
転職のタイミングを後回しにしない
これまで総務の経験を積み上げてきた人でも、中々転職先が決まらず悩む人は非常に多いです。
転職のタイミングを逃し、「あの時に転職しておけばよかった」と後悔してしまうようなことは避けなければいけません。そうならないためにも転職に踏み切る決断は、なるべく早い方が良いです。
また、転職市場では年齢が上がるほど(社会人経験が長くなるほど)、即戦力として求められるスキルの質が高くなります。
例えば、以下のように総務の中途採用で求められるスキルは年代によって変化していきます。
このように年齢が上がるに連れて即戦力として求められるスキルの質が高くなり、転職するハードルが上がることを認識しなければいけません。
もちろん、30歳や40歳を超えている人でも転職を成功させる人はいますが、それでも20代の転職に比べると転職が難しくなることに変わりはありません。そのため、総務の経験者は「何とかなるのでは」といった安易な気持ちは捨て去り、転職に悩んだ今行動を始めるべきです。
総務の経験者は何を目的に転職するのかを考える
総務の経験者が転職を考えるとき、転職の目的を明確にしなければ転職活動で失敗します。たとえ転職先が決まっても働き始めた後に「こんなはずではなかった」と必ず後悔することになるからです。
そのため、総務の経験者で転職を考えている人は何を目的に転職するのかを強く自覚しておく必要があります。
なお、転職の目的は人それぞれ違いますが、総務の経験者は以下のような目的を果たすために転職を検討する人が多いです。
- 総務事務のスキルアップを目指す
- 労働環境を良くしたい
- 正社員を目指したい
- 人間関係の悩みを解決したい
以下、それぞれの目的ごとに、どのように考え転職活動に取り組めば良いのかについて解説していきます。
総務事務のスキルアップを目指す
総務の転職を目指す人で、職場環境を変えてスキルアップを図りたいと考える人は多いです。
勤めてきた企業でも総務事務の経験を積むことは可能ですが、向上心の強い人はスキルアップ転職して新しいことにチャレンジしたいと考えます。つまり将来的なキャリアプランを考えたとき、今の職場環境ではスキルアップに限界があると感じているのです。
例えば、担当する仕事が固定化し、新しい仕事に挑戦する環境がなければ人事や法務など幅広い経験ができる企業へ転職したいと考える人もいるでしょう。
また、総務事務の経験者が他の企業の総務へ転職し、スキルアップを目指すパターンとして以下のようなケースが考えられます。
- 総務事務の専門性を磨いて、スペシャリストを目指す
- 幅広い総務事務を経験し、マルチな人材を目指す
- 総務の管理職を目指す
もし、このようなスキルアップを目指して転職する場合、その目的が実現できる会社へ転職できなければ意味がありません。
例えば、下記の求人票は東京に本社がある大手上場企業の総務の求人募集になります。
上記求人の企業へ転職した場合、幅広く総務事務を経験しながら法務に関わる領域までキャリアを広げることができるポジションであることが分かります。
総務だけでなく、企業法務も視野に入れてキャリアアップを目指す人であれば、このような求人を選ぶことで転職のミスマッチが減り、転職後も長く活躍できるのです。
なお、「人事や法務など幅広い業務に挑戦できる総務へ転職したい」「総務チームをまとめてきたマネジメント経験を活かせる管理職ポストへ転職したい」など、これまでの経験や応募者の考えによって目指すスキルアップの内容は違います。
そのため、理想のスキルアップが実現しそうな求人を選ばなければ、いくら総務事務経験者であってもスムーズに転職活動が進みません。
年収アップを目指す
長年、総務の経験を積んできても中々年収が上がらず、将来的に不安になる人も中にはいるでしょう。
いつも残業して働いているのに、年収がそこまで高くないと「ずっとこの会社で働き続けられるのだろうか?」と不安になるものです。
ただ、総務は直接企業の利益に貢献する仕事はなく、営業職のように給料体系が成果報酬や歩合制ないため、年収はそこまで高くありません。そのため、総務の年収は企業の規模や経営状況、役職などが大きく関わります。
例えば、下記の求人票は東京に本社がある大手上場企業の総務の求人募集になります。
上記の企業へ転職した場合、管理職またはマネージャーのポジションとなりますが、年収は650~799万円と総務としては高い年収を得ることができます。
このように、これまでの実務経験を活かしてマネージャーや管理職など組織を束ねる重要な役割を果たすポジションへ転職できれば、総務でも年収アップが狙えます。
ただし、年収だけにとらわれて転職先を決めてはいけません。やりがいを持ち続けることができなければ仕事を続けることは難しいからです。
転職して年収がアップすることによってモチベーションが上がることは確かです。ただ残業があまりにも多い職場の場合、体力面や精神的にも相当タフでないと乗り切ることができません。
そのため、年収といった目先のことだけにとらわれず、仕事のやりがいも含めて総合的に考えて転職先を判断することが重要です。
労働環境を良くしたい
また、プライベートや育児など仕事と私生活のバランスを考えて転職を検討する人もいます。
残業の多い総務の職場で働き続けると、体力のある男性であっても疲れます。そのため、サービス残業が多い総務で働き続けることが苦痛になる人もいます。
また残業する従業員が多く、早く帰りづらい雰囲気の中で働き続けることが苦痛であれば、転職を視野に入れるべきです。
そこで、数ある求人の中から労働環境の改善に力を入れている企業を見つけ、より良い労働環境が実現しそうな求人へ応募しましょう。例えば、下記の求人票は東京に本社がある中小企業の経理総務の求人募集になります。
上記求人の企業は、「月10時間以内の残業時間」を実現し、労働環境の整備に力を入れていることが分かります。
ただし、このような求人の企業へ転職したとしても、正社員である以上どうしても残業しなければいけない日もあるでしょう。
「急遽、明日の会議で配布する資料の差し替えが発生した」「クレーム対応に追われた」など、正社員であれば急な対応に追われることが多いです。そのため、トラブルが発生するタイミングによっては他の業務が滞り、その分残業するようなケースがあることも認識しておく必要があります。
もし、子どもの保育園のお迎えなどで定時に必ず帰る必要がある場合は、面接のときにその条件を伝えなければいけません。そうして、その条件を了承した上で採用されるのであれば、定時退社が実現します。
正社員を目指したい
これまで契約社員や派遣社員として働いてきた総務の経験者が、正社員の総務へ転職を考えることがあります。将来的に家庭のことや老後のことを考えたとき、非正規雇用のまま働き続けることが不安になるからです。当然ですが、昇給・賞与制度が適用されている正社員で働いた方が収入は増えます。
また、契約社員や派遣社員では適用されない会社の福利厚生を受けることができ、会社によっては家賃補助や昼食補助など生活費の負担が軽減されるような内容もあります。
なお、正社員へ転職すると仕事の責任は伴いますが、その分難しい仕事にチャレンジすることでスキルアップを図ることもできます。正社員へ転職することで面倒なことが増えることは確かですが、見返りは大きいです。
このように総合的に考えると非正規雇用として働くのではなく、正社員の総務として働く方がメリットは大きいといえます。
人間関係の悩みを解決したい
人に好き嫌いがあるように従業員同士で性格や仕事の考え方が合う人、合わない人は必ずいます。このような人間関係で悩むことがきっかけとなり、転職を考える人も多くいます。
私の友人が「毎日のように遅くまで残業しているが、周りの同僚は気が合う人たちばかりで仕事が全く苦にならない」と話してくれたことがありますが、それだけ人間関係は仕事と切り離せない重要な要素といえます。
また私の経験上ですが、どのような職場でも気の合わない上司や同僚は必ずいます。そのため、世の中の多くの人が気の合わない人とうまく付き合いながら仕事をしているのが現状です。
なお年齢が若ければ、上司と意見が合わなくても言い出せない人や同僚と意見が合わなくても自分の言いたいことを我慢してしまう人が多いでしょう。
そのような職場で働き続けることは仕事のモチベーションにも繋がらず最悪の場合、精神的なうつ病を発症してしまう人もいるため、人によっては転職を考えた方がよいです。
ただし、転職によって人間関係の悩みを解決するだけでは転職先の企業に何もメリットがありません。そのため、即戦力として貢献できる理由を考えておくことは必須になります。
総務の転職求人選びで経験年数に注意する
また、総務の転職求人の中には応募条件として総務事務の経験年数を具体的に示す求人があります。
このように経験年数を具体的に示す理由として、応募者の数を絞りたいという企業側の狙いもありますが、できる限りミスマッチを防ぎたいと考えている企業も多いです。
例えば、下記の求人票は大阪に本社がある医薬品メーカーの総務の求人募集になります。
上記求人の企業へ転職したい場合、応募の必須要件として総務事務の経験が5年以上なければいけません。つまり、総務事務として即戦力の人材でなければ採用できないと企業側は考えています。
このような求人に応募する場合、応募要件を満たす実務の経験年数がなければ書類選考で落とされてしまう可能性が高いです。
このほか「総務事務の経験3年以上」と記載している企業もあれば、「総務事務の経験10年以上」といったようなベテランの人材を求める求人まであります。ここでは、具体的な経験年数を求める総務の求人もあるという事実を押さえておきましょう。
求人に記載されていない労働条件を確認する方法
求人票の内容だけでは転職先の労働条件など知りたい情報が不足しており、転職者と採用する会社の間でミスマッチが生じることがあります。
例えば、「総務の経験を活かして本当にスキルアップできる環境があるのか?」「育児のために時短勤務を取得することに理解のある会社であるか?」など、本当に知りたい情報が求人票に記載されていないことが多いです。
このとき、求人票の情報だけでは読み取れない気になる労働条件について、自ら一件ずつ会社に確認しながら転職活動を行うことはあまり現実的ではありません。労働条件について面接で確認することは非常に勇気が必要であり、交渉しても面接官を説得させなければいけません。
結果的に労働条件の交渉に自信がない人は遠慮して会社側の条件をすべて受け入れることになるため、転職後にミスマッチが生じるのです。これでは、転職する意味がありません。
そこで転職サイトを活用し、担当のコンサルタントにあなたが希望する転職の条件を相談すれば、その条件に見合う求人を紹介してくれます。そうすることで、効率良くあなたにとって最適な求人を見つけることができます。
総務経験者が転職するときに注意すべき志望動機の作り方
実際に総務の経験者が転職する過程で、履歴書の作成や面接は避けて通ることができません。特に履歴書・面接の両場面で必ず確認される志望動機は最も重要な部分でもあるため、入念に作り込む必要があります。
そこで、総務の経験者は以下2つのポイントを意識して志望動機を作成することで、他の応募者との差別化を図ることができます。
- なぜ、この会社へ転職したいのか
- 総務事務の経験・スキルを応募先でどのように活用できるのか
上記のポイントを意識しながら、これまでの実務経験の内容をもとに志望動機を作成するようにしてください。
以下は、中小規模メーカーの総務から子会社の総務へ転職することを想定した志望動機例になります。
これまで中小規模メーカーの総務に6年間務め、直近の2年はチームリーダーとして5人の従業員をまとめる役割に徹してきました。
チームリーダーになった当初、それぞれの従業員が担当する仕事が固定化しており、担当業務以外の進捗状況が把握できていない課題がありました。 そこで、それぞれの業務の透明性を図るために週に1回集中してチームミーティング実行することで、他の担当者でも対応できるように業務の標準化に力を入れてきました。 転職によって業務量が多くなることは想定されますが、立ち上げ間もない御社(子会社)の総務へ転職することで、これまでに積み重ねてきた主体的な行動力とチームマネジメントの経験を十分に活かせるのではと思い、このたび志望いたしました。 |
上記の志望動機例のように、これまでの総務事務の具体的な経験内容を述べつつ、転職先でその経験を活かすことができることをアピールしましょう。そうすることで、「なぜ、この会社に応募したのか?」という面接官の疑問に対する的確な回答になります。
ただし、応募する企業ごとに求められる人材スキルは違うため、志望動機の内容は応募する企業ごとに変える必要があります。
後悔しない転職を実現するために、転職サイトを利用する
ここまで述べてきたことを理解し実践すれば、これまで積み上げてきた総務事務の経験を活かせる企業へ転職できます。
ただ、総務経験者として積み上げてきた実務スキルを活かしたいからこそ、転職で実現したい条件のこだわりは強くなるはずです。せっかく転職先が決まったとしても、「思っていたより年収が低かった」「実際に入社すると想像以上に残業が多い」など、転職後に後悔するようでは転職した意味がありません。
そこで総務経験者の多くが複数の転職サイトに登録し、より多くの求人情報を入手しながら効率良く転職活動を行っています。
このような転職サイトで相談するときは、遠慮は必要ありません。スキル面だけでなく残業や育児など労働条件でも不安がある場合、必ず相談するようにしましょう。そうすることで希望する労働条件についても、代わりになって企業側に交渉してくれます。
転職サイトを利用しない場合、このような面倒なことも全て自ら調べ、交渉しなければいけません。そのため、転職サイトの担当コンサルタントに転職条件を本音で伝えることで、転職によるミスマッチを防ぐことに繋がるのです。
総務経験者だからこそ、慎重に転職先を選ぶべき
これまで積み上げてきた総務の経験を活かしたいのであれば、転職先選びは非常に重要です。
いくら総務の経験者であっても、「転職先は見つかるだろう」と安易な気持ちで転職活動に取り組むと必ず失敗します。客観的に自己分析し、転職の目的を明確にしなければ転職後にミスマッチが生じるからです。
また、転職のタイミングを後回しにするのも良くありません。20代前半ならまだしも、20代後半以降は即戦力として求められるスキルの質が上がり、転職することが難しくなります。そのため、転職を検討しているのであればなるべく早く決断して転職に踏み切った方が良いです。
もし転職条件にこだわりがあるのであれば、転職サイトを活用するとよいです。転職サイトでは求人情報だけでなく、客観的な視点から自分の強みや得意なことを見つけることまでフォローしてくれます。
このようにして転職活動に取り組めば求人の選択肢が広がり、あなたにとって最適な転職先を見つけることができるのです。
事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは
事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。
しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。
ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。
そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。