預金、銀行振込、融資など銀行のサービスを利用したことがない社会人はいないでしょう。

そのような日常的に身近な存在である銀行であっても、従業員がどのような仕事をしているのか知る機会はあまりありません。銀行は公共性の高いお金を管理する特殊な業務を担うことから、できる限り銀行業界の特徴を把握しなければ転職活動で失敗します。

もし銀行の総務へ転職を考えているのであれば、一般的な民間企業の総務と比較してどのような違いがあるのか知る必要があります。そこで銀行の総務の仕事内容や銀行員の出世事情を正しく理解することで、戦略的な転職活動に結び付けることができます。

銀行への転職は出世することがすべてではない

銀行の総務への転職を目指すとき、転職後のキャリアパスについて考えることは非常に重要です。特に総合職として転職した場合、銀行員として出世するか出世しないかで経験するキャリアや年収に大きな差が出るからです。

例えば、銀行へ転職して将来的には出世して総務部長あるいはそれ以上の役員を目指す人がいるでしょう。

しかしながら銀行での出世競争は非常に激しく、銀行から高い評価を受けた限られた人材しか出世することができないのが現状です。そのため銀行員として出世したいと考えている人は、なるべく早く銀行員としてのキャリアを積み上げるために若いうちに転職を決断することが重要です。

ただ銀行員として出世することはそれなりの責任が求められるため、仕事が忙しくなることも覚悟しなければいけません。

また、出世して役員に就く銀行員の中には年収が1500万円以上の人もいれば、出世しない銀行員で年収600~800万円の人もいます。それだけ、銀行員は出世するか出世しないかで年収に大きな差が出ます。

このほか銀行員のキャリアパスとして同じ系列の関連会社や融資先に出向するケースがあり、将来の幹部候補生としてキャリアアップのために出向を命じられることがあります。ただし出向するかどうかは人事部に決定権があります。そのため、銀行員にはそのようなキャリアパスがあることも覚えておくとよいです。

しかしながら、出世することがすべてではありません。むしろ銀行員として管理職以上に出世しない人の方が圧倒的に多いのが現状です。

このように銀行の総務へ転職を考える際は、自分なりの転職後のキャリアパスについても考えるようにしましょう。

銀行の総務の仕事内容

銀行員は、経済活動に必要なお金を管理する特殊な仕事をこなしています。そのため、銀行の総務でも「銀行特有の仕事をしているのでは?」と勝手にイメージしてしまいがちです。

私は大手企業とベンチャー企業の総務に勤めていましたが、同じ総務であっても銀行の総務と聞くと特殊な仕事をしているイメージを持っていました。

しかし実際に調べてみると、銀行の総務では銀行特有の仕事がありながら他の業界の民間企業と共通する業務があることも分かりました。

例えば銀行特有の仕事の例として、地方にある日本銀行支店の総務課では産業調査・金融調査として経済統計の分析を行うほか、エリアを管轄する企業や経済団体などのヒアリングを通じた景気動向調査・分析などがあります。このような仕事内容は実際に日本銀行支店のホームページにも記載されています。

このほか、どの業界の民間企業とも共通する総務の仕事として建物や設備の保守点検、備品・消耗品の調達、従業員の人事や労務に関わる業務などがあります。

また銀行の中には求人を出して総務の人材を募集する銀行があり、それぞれの求人情報から転職したときにどのような仕事を担当することになるのか、ある程度把握することができます。

例えば、下記の求人票は東京が勤務地となる銀行の総務の求人募集になります。

上記の求人の銀行へ転職した場合、不動産設備・備品関連業務の企画管理、株式関連事務、株主総会事務等の企画管理業務、総務事務全般の企画管理業務、株主総会関連業務を主に担当することになります。

このように銀行の総務では銀行業界特有の仕事内容が一部ありますが、不動産設備の管理や株主総会関連業務など、どの業界の民間企業にも共通する総務の仕事内容もあるのです。

銀行の総務に転職してからどのような仕事を担当することになるかは、上記のような各銀行が出す求人票に記載されています。そこで仕事内容をしっかり確認するようにしましょう。

銀行の総務で求められるスキルとは

上記では銀行の総務の仕事内容について説明しましたが、ここでは銀行の総務へ転職するときに求められるスキルについて解説します。

まず銀行の総務で求められるスキルと聞くと、お金を扱う銀行だけに銀行や金融に関わる実務経験がないと転職できないのではと考える人も多くいると思います。

結論から述べますと、銀行業務の経験や金融業界の経験がなくても転職できる銀行の求人は存在します。不足している人材スキルはそれぞれの銀行によって事情が異なるからです。そのため、求人を出している銀行によって求められるスキルは違います。

例えば、下記の求人票は東京が勤務地となる信託銀行の総務の求人募集になります。

上記求人票の銀行の総務へ転職するときに求められるスキルは「管理・総務等の業務について3年以上の経験」があれば応募することができます。このように、求人を出す銀行の中には銀行や金融機関での業務経験を必ずしも必須要件としない求人もあることが分かります。

ただし、銀行の中にはお金を管理する業務の特殊性から下記の求人票のように金融機関での実務経験を求める銀行もあります。

上記の求人票のように、金融機関での実務経験を求める求人もあります。

ただ銀行の総務の求人で銀行や金融機関での実務経験を必須要件として求める求人は少なく、歓迎要件(望ましい要件)として求める銀行が多いです。

銀行の総務に転職するには学歴が必要

また学生時代の就職活動のときに銀行に興味があった人であれば、銀行の就職には大卒以上の学歴が必要と聞いたことがあるはずです。

実際に銀行の転職市場でも学歴を求める求人が多く、多くの銀行の求人で「大学卒業以上」であることが応募要件となっています。

特に銀行を含めた金融業界は信用に関わるお金を扱う業界であるため、真面目にコツコツと勉強して実績を出してきた学歴のある人材を評価する傾向にあるのです。

例えば、下記の求人票は東京が勤務地となる銀行の総務の求人募集になります。

このような求人では高卒や短大卒の人で実務スキルについて応募条件を満たしていたとしても、学歴フィルターによって応募できない人が少なからずいます。

もちろん高卒や短大卒の人でも優秀な人材はたくさんいます。ただ、銀行の総務の求人では大卒以上の学歴であった人材を求める求人が多いです。

中には学歴を求めない銀行の求人もありますが、そのような求人は非常に少ないのが現状です。

銀行の総務へ転職するために必要な資格とは

また、銀行員として働くのであれば「資格が必要では?」と思う人は多いでしょう。実際に銀行員として働く人の多くが、仕事で必要となる知識を身に付けるためにさまざま資格を取得しています。

例えば、私には銀行の総合職として働いている友人がいますが、資格の取得状況を確認したところ以下のような資格を取得しているとのことでした。

日商簿記 銀行業務検定
金融業務能力検定 ファイナンシャル・プランナー(FP)
証券外務員 宅建(宅地建物取引士証)
生命保険募集人 損害保険募集人

このほか、現在は中小企業診断士の資格取得に向けて勉強中と言っておりました。

しかしながら、銀行の総務の転職時にこのような資格を保有していることが求められるかというとそうではありません。実際のところ、銀行業務に関わる資格を必須要件とする銀行の総務の求人はほとんどありません。

そのため、銀行の総務へ転職するために上記に示したような資格を必ずしも取得する必要はありません。ただ、銀行の総務は主に銀行組織を管理する立場として社内のさまざまな部署と連携しながら仕事をする場面が多くなります。

なお、銀行の総務でも資格の知識が必要となった場合、転職後に資格を取得することも考えられます。また、自己研鑽(じこけんさん)として銀行業務の知識を身に付けるために資格の取得を目指して積極的に勉強することは非常に有意義なことといえます。

銀行の総務に転職したときの年収

総務に関わらず、銀行へ転職する人の多くが年収を気にします。

同じ銀行員でも都市銀行(メガバンク)や大手銀行、地方銀行があり在籍している銀行によって年収に差があります。ただ、銀行員の年収は総じて高く福利厚生などの待遇も比較的に恵まれている勤務先が多いです。

また銀行員の年収が一般的な民間企業で働くサラリーマンより高い傾向にある理由は、明らかではありません。

私が調べた限りでは、「社員の不正を防ぐため」「役職定年の制度によって、50~55歳辺りで減給される」「管理職など出世しない40歳以上の銀行員は出向する」など銀行員の年収が高い理由には、さまざまな憶測があります。

上記で紹介した銀行員の友人にも確認しましたが、これといった確実な理由は聞いたことがないとのことでした。ただ銀行へ転職するときの年収は、これまでの実務経験の内容や即戦力としての期待値が高くなければ高い年収を実現することはできません。

例えば、下記の求人票は東京が勤務地となる銀行の総務の求人募集になります。

上記の銀行へ転職した場合、銀行の総務において即戦力として期待される人材であれば転職時の年収は800万円に近づきます。ただ、これまでの実務スキルの内容によっては平均的な年収であることも想定されます。

また年収は転職先の銀行によって差があるため、年収が気になる人は求人票に記載されている年収額をよく確認してください。

転職サイトを活用し、金融業界への転職も視野に入れる

ただ、銀行の総務へ転職することを検討している人の多くが結局何から始めたらよいのか分からないという状況になります。転職活動は人生に何度も経験するものではないため、余計に失敗しなくないという強い気持ちがあるはずです。

ただし自力で銀行の総務の求人を探すことも可能ですが、注意点があります。本格的に転職活動を始める前に認識すべきことは「銀行の総務の求人数は非常に少ない」という事実です。

例えば、以下は大手転職サイトで「銀行の総務の求人」を検索したときの結果になります。

上記の検索結果は銀行だけでなく証券会社などの金融機関も含めた結果ですが、日本全国で9件しか求人がありません。

このような状況の中で、自分の条件に見合う求人を見つけ出すことは非常に困難です。そこで、同じ金融業界の金融機関(証券会社、信用金庫、信用組合など)の総務への転職も視野に入れながら転職活動を行うようにしましょう。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある証券会社の総務人事職の求人募集になります。

上記のような求人の会社へ転職することができれば、銀行の総務と同じく金融業界に関わりながら仕事に携わることができます。

ただ金融業界の総務の求人数もそこまで多くありません。そこで、転職を実現させるために多くの人が転職サイトをうまく活用しながら転職活動を行っています。

さらに転職サイトに登録すれば、履歴書の書き方や面接対策についてアドバイスを受けることができるため、客観的な視点から自身の状況を把握することができます。

しかし転職エージェントとの相性があることや金融業界の総務の求人数が少ない状況を踏まえ、登録は1社に絞らず少なくとも3社以上登録するようにしましょう。複数の転職サイトへ登録することで偏った情報だけでなく、手広く求人情報を手に入れることができます。

そうすることで、自分の希望条件により見合った求人を探し出すことに繋がるのです。

銀行の特徴をよく調べてから転職に踏み切る

銀行の総務へ転職できれば、他の民間企業では経験できない銀行特有の仕事に関わることができます。また経済活動に欠かせないお金を管理する銀行員は、「信用のある社会人」として評価されやすいです。

ただ銀行員へ転職する場合、学歴を求める銀行や金融業界での実務経験を求める銀行もあり、総務の実務経験だけでは応募要件を満たさないこともあります。また銀行の総務の求人は非常に少ないため、限られた人材しか転職を実現することはできません。

そこで銀行だけでなく、証券会社など金融業界に関わる企業の総務へ転職することも視野に入れながら転職活動するとよいです。

ただそれでも総務の求人数は少ないため、計画的に転職活動に取り組まなければいけません。もし不安があるのであれば、転職エージェントに相談しながら転職活動しましょう。

そうしてより多くの求人情報を手に入れながら「なぜ、銀行の総務へ転職したいのか」を深く考えながら、新たな一歩を踏み出してください。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。