公務員として働く周りの友人やインターネットの情報から公務員の働き方を知り、公務員への転職に興味を持つ人は多いです。

基本的に公務員は民間企業のようにノルマがありません。一方で公務員は福利厚生が充実しているため、プライベートの時間を確保しやすい傾向にあります。そのため、民間企業から公務員へ転職を目指す人が絶えません。

ただ民間企業と違い、公務員の総務で働きたい場合は公務員試験を通過しなければいけません。また公務員になることはメリットばかりではなく、デメリットがあることも理解したうえで転職活動に取り組む必要があります。

そこでここでは、公務員の総務へ転職を目指す社会人が事前に理解しておくべきポイントについて解説していきます。

公務員は総務のポジションでの採用はない

安定した環境の総務で働きたいと思う人のほとんどが、公務員の総務へ転職できないか検討します。

民間企業では倒産やリストラといったリスクを考えなければいけませんが、公務員として働く場合はそのような心配はいりません。公務員は犯罪などをして懲戒処分を受けない限り、解雇されることがないからです。

まず公務員の総務で働きたい場合、公務員試験に合格する必要があります。ただし、公務員試験に合格したからといって総務に配属されるとは限りません。民間企業と違い、公務員の採用では総務のポジションに特化した採用区分がないからです。

例えば、下記の表は東京都23区特別区公務員の採用試験情報になります。

上記の表からも分かりますが、公務員の採用試験では総務職の採用試験が実施されていません。それでも公務員の総務で働きたい人は、まず事務職の採用試験を受験して合格する必要があります。

公務員の総務で働くには事務職として採用され、採用された一部の職員が総務へ配属されることになります。

公務員は人事異動で配属先が決まる

なお公務員試験に合格した後の配属先は人事異動によって決まるため、入社日に辞令を受けるまでどの部署で働くことになるのか分からないのが現状です。

また公務員は2~5年で人事異動する人が多く、これには公務員特有の理由があります。まず公務員の立場である職員が同じ部署に居続けることで、特定の民間企業や仕事で関わる地域の人と親密な関係を築く可能性があります。

そのため、公務員による癒着(ゆちゃく)が起きることを防ぐために定期的な人事異動が行われるのです。

例えば市役所の職員として念願の総務課へ配属されたとしても、仕事が慣れてきた3年後あたりに総務とはまったく関係のない福祉関係の部署へ異動することも考えられます。

このとき特別な理由(病気や家庭の事情など)がなければ、人事異動による辞令を断ることはできません。そのため公務員として総務で働くことを目指す人は、人事異動が付き物であることを事前に理解しておかなければいけません。

なお面接試験で提出する履歴書や面接において総務で働きたいことをアピールすることはできますが、希望どおりに配属されるかは人事の判断になります。

公務員へ転職するための受験勉強が最大の壁

また民間企業から公務員へ転職するためには、どのような試験を受ける必要があるのか事前に調べておくことは重要です。

どのみち公務員試験に合格しなければ、公務員として働くことができません。そのため民間企業から公務員へ転職したいと考えている人にとっては、働きながらいかにして受験勉強の時間を確保するかが1番の悩みどころといえるでしょう。

また学生時代にどれだけ受験勉強に時間を費やしてきたかは、人によって違います。推薦で大学に進学した人の中には公務員試験に出題されるような科目を勉強していない人もいます。そのため、人によっては一から勉強しなければいけない科目もあります。

例えば、民間経験者として公務員試験を受験する場合、教養試験に出題される科目として以下のようなものがあります。

上記の内容からも分かりますが、たとえ公務員の経験者採用であっても出題される問題の範囲はかなり広いことが分かります。

このため民間経験者が公務員試験を勉強する場合、日中働いた後や残業した後に勉強する時間を確保し、遊んだり趣味に費やしたりする時間を削る必要があります。

また公務員試験に合格するまでは、気休めとなる休日の時間も受験勉強に充てなければいけません。特に女性で育児や家庭のことも考えなければいけない人は、なおさら勉強時間を確保することは難しいといえます。

さらに継続的に高いモチベーションが必要となるため、本気で公務員を目指す覚悟がないと途中で挫折してしまう可能性が高いです。中には公務員試験対策を行う予備校に通いながら勉強する人もいますが、いずれにせよ合格ラインの点数を取らなければ試験に落ちます。

それでも公務員を目指す人は、試験合格を目指して必死に勉強に取り組むようにしてください。

国家公務員は激務の部署や全国転勤がある

なお、公務員は大きく分けると「国家公務員」と「地方公務員」に分類されます。以下、それぞれの働き方や特徴について解説します。

まず国家公務員は、日本の中央省庁に務める公務員のことを指します。

国家公務員の場合、各省庁(総務省、文部科学省、外務省など)、国税局、裁判所それぞれに総務事務を担当する部署があります。

例えば省庁の場合、組織が非常に大きく複数の部局があり、それぞれの部局の中に総務を担当する部署があります。総務省を例に挙げると、大臣官房、行政評価局、情報流通行政局など総務課をもつ複数の部局に分かれており、それぞれの部局に総務課が設置されています。

※総務課がない部局もあります。

ただ国家公務員は激務となる部署が多く、深夜まで国会対応に追われたり、予算編成に追われたりすることもあるため楽な仕事ではありません。

また国家公務員は人事異動によって部署が変わるだけでなく、全国の地方部局への異動や地方公共団体への出向などがあります。基本的に同じ地域で働く地方公務員とは違い、場合によっては引っ越しを伴う転勤もあります。

そのため国家公務員を目指す場合、全国転勤しても問題ない人が条件となります。

地方公務員の総務はエリートで出世する人が集まるのか?

一方、地方公務員の公務員試験に合格した場合、各都道府県の県庁や各市町村の市役所、特別区(東京都23区)の区役所などで働くことになります。これらの県庁や市役所にも必ず総務課など総務事務を担当する部署があります。

事務職として採用される地方自治体では、組織全体の事務を総括する総務部や総務課は人気のある部署の1つです。中には、総務で組織全体に関わる事務を経験して出世したいと考える職員もいます。

総務は各部署の調整役を担うなど気を遣う場面が多いため、そのような器量がある職員でなければ配属されることはありません。そのため、エリートや出世する見込みのある人が配属されやすいことは確かです。

ただ総務に配属される人すべてが出世するわけではありません。総務に配属される人材の中には出世意欲のない人もいるのが現状です。

県庁・市役所の総務の仕事内容

なお県庁や市役所の総務課では、民間企業の総務と同じく多岐に渡る業務を担当することになります。

例えば、知事や市長が出席するイベントや会議の準備調整、各部署の予算・決算業務の取りまとめ、施設維持管理業務などがあります。このほかにも建物の防火管理業務や寄付の受付など採用される県庁・市役所によって総務課が担当する業務内容は違います。

また民間企業の総務は、株主総会を運営する事務局として機能を果たしますが、県庁や市役所は株を発行することがないため、株主総会を運営することはありません。

逆に県庁・市役所の総務課では知事や市長が出席する議会運営に関わる事務手続きなど、民間企業の総務では経験できない仕事もあります。

公務員として働くメリット(給料・働きやすさ)

また人事異動によって総務で働くことができる保障はないものの、公務員として働くことによるメリットはあります。

まず公務員の給料は若いうちは決して高くありませんが、年齢と経験年数によって徐々に上がっていきます。部長や課長などの管理職に昇任しない限り、給料はそこまで高くありませんが安定した収入は確保できます。

民間企業の総務であれば勤務先の業績が悪い場合、ボーナスの支給額が減額されたり、支給されなかったりすることも考えられます。

一方、公務員の給料は景気に多少左右されますが、突然ボーナスが支給されなくなるといった事態に陥ることはありません。公務員の給料は国民が納める税金によって人件費が支払われるため、法律や条例によって確実に給料が支払われるように手続きされるからです。

また国家公務員(キャリア採用、ノンキャリア採用)か地方公務員かによって年収は違い、働いている地域によっても給料が異なります。

例えば、総務省が発表した2017年度の各都道府県市区町村にある役所の平均年収データによると、平均年収が最も高い厚木市役所(神奈川県)と最も低い下條村役場(長野県)との平均年収の差額は約350万円になります。

このように地方公務員の場合、地価や物価が高い都心部の公務員の方が平均年収は高い傾向にあります。ただいずれにせよ、安定した収入が見込めるため無駄遣いしなければ生活に困ることはありません。

公務員はリストラやノルマがなく、安定している

また民間企業と違って、公務員はリストラがありません。基本的にノルマがなく、無難に働き続ければ安定した給料をもらいながら退職年齢まで働くことができます。

公務員でも休日出勤しながら働く人もいますが、民間企業で働く人よりも休日やプライベートが充実している人は多いです。そのうえ福利厚生が充実しており、女性が産前産後休暇や育児休業を取得しても確実に復帰できるようにポジションが確保されています。

例えば、民間企業の総務で働いている人であれば育児休業期間は基本的に1年間になります。しかし、公務員であれば育児休業を3年間取得することができ、育児休業中は確実に育児休業手当が支給されます。そのため、女性にとって公務員は長く働き続ける環境が整っているといえます。

またこのことは公務員の離職率の低さにも繋がっています。総務省の統計では地方公務員の離職率は1%を切り、働きやすい環境であることは統計的に証明されています。

なお民間企業から公務員へ転職した私の友人は「転職前より給料は下がったけど、休日やプライベートが充実している」と言っていました。このように、民間企業から公務員へ転職することによってメリットを感じている人は多いです。

総務の専門性が身に付かないのはデメリット

ただし公務員として働くことは、メリットばかりではありません。特に公務員として総務で働くことを目指す人にとって最大のデメリットは、人事異動によって総務で働き続けることができないことにあります。

これまでにも説明しましたが、公務員は人事異動が付き物です。そのため総務に配属されたとしても、仕事が慣れてきたころには人事異動で総務とまったく関わりのない部署へ配属されることも考えられます。

もし民間企業の総務へ転職する場合、総務事務の専門性を磨き上げながらキャリアを積み上げることが可能です。しかし公務員では総務の専門性を磨き上げることはできず、総務以外の部署を何カ所も経験しながら幅広い知識を身に付けることになります。

そのため総務で働き続けたい人や総務事務の専門性を磨き上げたい人にとっては、必ずしも公務員へ転職する選択が正解であるとは限りません。仕事やプライベートとのバランスを考えたうえで、それでも公務員になりたい人は受験勉強の準備から入るようにしましょう。

転職サイトを活用し、独立行政法人など準公務員を目指す

ただ公務員になるためには、公務員試験を通過しなければいけません。たとえ経験者採用であっても筆記試験・論文試験・面接試験の対策が必要です。また、仕事終わりや休日の時間を使って膨大な試験勉強に取り組むのは非常に大変な作業といえます。

そこで独立行政法人などの準公務員であれば、民間企業への転職ではあるものの公務員とほぼ同じ待遇で働くことができます。準公務員を採用する独立行政法人は公共性や公益性の高い事業に携わることになるため、安定性に優れているのです。

また一般的な民間企業への転職と同様の流れとなるため、公務員試験が実施されることはなく、受験勉強を回避することができます。

このような独立行政法人への転職を目指すとき、多くの人が転職サイトを活用することになります。公務員試験が必要となる中央省庁や都道府県庁、市区町村の役所の求人は転職サイトで扱っていないものの、準公務員として採用する独立行政法人であれば総務事務の求人情報が掲載されています。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある独立行政法人の総務経理スタッフの求人募集になります。

上記のような独立行政法人の求人票へ応募し転職できれば、準公務員として総務事務のキャリアを積み上げながら働くことができます。

決して求人数は多くありませんが、独立行政法人の求人であれば公務員と違って総務のポジションとしての採用があり、総務事務のスキルを身に付けることができます。また、公務員のように人事異動でまったく関係のない部署へ異動することはありません。

ただし転職サイトによって扱う求人に違いがあり、担当してくれる転職エージェントとの相性もあるため、転職サイトは1社に限らず3社以上登録するとよいです。複数の転職サイトを活用することで、独立行政法人に関するより多くの求人情報を手に入れながら転職活動に取り組むことができます。

公務員として働くことがベストであるのかを考える

公務員は大きな収入は得られないものの、民間企業のようにリストラがなく待遇がよいため人気のある職種です。ただ公務員として働く場合、それなりの高い倍率をくぐり抜けて公務員試験に合格しなければいけません。

しかしながら公務員試験を通過するためには、仕事以外のプライベート時間を削りながら勉強に取り組むことが必要です。

もし、採用試験を通過すれば公務員の総務部門で働ける可能性はありますが、必ず人事異動によって別の部署へ異動することになります。

もちろん公務員を目指すことが悪いわけではありません。待遇の良さや働きやすさを求めて公務員に転職する人がいるのも事実です。ただ公務員として総務で働くことを考える場合、独立行政法人のように準公務員として働くことも視野に入れながら転職サイトを活用するとよいです。

まず公務員試験の通過を目指して問題集を買う前に、自身がどういった働き方を実現したいのか見定めてから転職活動に取り組むようにしましょう。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。