未経験からの転職でも事務職への転職は、特に人気があります。「結果ばかり求められる営業の仕事に疲れた」「仕事とプライベートのバランスを取りたい」など、様々な理由から事務職への転職を考える人は多いでしょう。

しかし、事務職は働きやすいイメージがあることから、未経験の転職希望者からも多くの応募があります。そのため、何となく転職活動に取り組んでも他の応募者と差がつかないため、中々転職先が決まらず苦労することになります。

もし未経験から事務職への転職を目指すのであれば、転職しにくい理由を正確に把握し、計画的に転職活動に取り組まなければいけません。そこで、ここでは未経験から事務職へ転職するための正しい知識や志望動機の作り方について解説していきます。

売り手市場でも未経験から事務職への転職が難しい理由

事務職への転職に挑戦しても、中々転職できず悩んでしまう人は多いです。

「事務職だから何とかなるだろう」と応募しても、実際には書類選考が全く通過しないなど、事務職への転職の難しさを実感することになります。そのため、未経験者として事務職への転職を目指す場合、転職が難しい理由を把握した上で戦略的に転職活動に取り組むことが重要です。

未経験から事務職への転職が難しい理由として、具体的には以下のような理由が考えられます。

  • 事務職は人気が高い
  • 事務作業のアウトソーシングで正社員を削減
  • AIの導入による事務職の人員削減

それぞれの理由について、以下詳しく解説していきます。

事務職は人気が高い

まず、事務職への転職が難しい理由の一つとして、事務職の人気の高さが大きく影響しています。転職を検討するときの価値観は人によって違いますが、事務職は他の職種に比べて「楽な仕事」とイメージする人が多いです。

実際に事務職で働く人から話を聞いて、「計画的に業務をこなせそう」「営業やサービス業に比べて体力的に楽そう」「残業があまりなさそう」と思ったことがある人は多いでしょう。そのため、これまで忙しい仕事に従事してきた人が次に転職先として選ぶ職種の中でも、事務職は非常に人気があります。

特に女性から人気が高く、企業によっては事務職の従業員のほとんどを女性が占める会社もあります。ただ中には男性であっても、実務経験を活かして事務職へ転職する人もいるため、女性だから転職しやすい訳でもありません。

また、事務職の人気の高さは求人の倍率にも明確に表れています。例えば、厚生労働省の発表によると、2018年平均の有効求人倍率が1.61倍となっている一方で、一般事務の有効求人倍率は0.37倍と競争率が非常に高くなっています。ざっくりですが、100人の募集枠に約270人もの応募者が申込みしている状況なのです。

このように事務職は人気が高く非常に多くの転職希望者から応募があるため、結果的に転職のハードルが高くなります。

事務作業のアウトソーシングで正社員を削減

また、事務作業をなるべくアウトソーシング化し、事務作業に従事する正社員の数を少なくする企業が多くなっています。単純な事務作業は、なるべく人件費がかからない派遣企業に委託することで、業務の効率化を図ることができるからです。

例えば、私が勤めていた大手企業の事務職の友人に聞いたところ、顧客への案内状の送付や申込みの入力作業といった単純な事務作業は派遣社員の従業員が担当していると言っていました。

このように、正社員の事務職従業員がより高度な事務作業(スケジュール管理や資料作成など)に集中できるように、単純な作業は派遣社員に任せる企業が多くなっているのです。そのため、今後も単純な事務作業はアウトソーシングする企業が増えていくことが予想されます。

結果的に事務職の正社員採用が増えることはあまり期待できず、転職は厳しい状況が続くことになるでしょう。

AIの導入による一般事務の正社員を削減

また近年の技術革新により、単純な事務作業は人ではなく、今後はAI(人工知能)を導入することで業務の効率性を図る企業が増えていくことも予想されます。

例えば、下記のとおり2017年に金融業界最大手のメガバンク(みずほ銀行・三菱UFJ銀行・三井住友銀行)がAIを活用した事業計画を発表しました。

このように、AIの導入は資金力のある大手企業を中心に今後展開されていくことが予想されます。導入には資金がかかるため、事務職が急に無くなることはありませんが、簡単な事務作業などはAIの導入によってシステム化されていきます。

このようなことから、事務職の正社員求人数が今後増えることは考えにくいといえます。

未経験から事務職へ転職するときの求人例

では実際に未経験から事務職へ転職を目指す場合、どのような求人へ申し込むべきでしょうか。

基本的に転職市場では即戦力となる業務経験者が求められますが、それは事務職でも同じです。ただ、事務職の求人の中には未経験でも申込みが可能な求人があります。

例えば、下記の求人票は福岡県に本社がある中小企業の事務職の求人募集になります。

未経験から事務職へ転職を目指す人は、上記のような求人に積極的に応募することが重要です。また、事務職は転職先によって担当する仕事内容が変わります。電話対応や資料作成など、どの会社でも共通するような仕事もありますが、それ以外にどのような仕事を担当するのか必ず確認するようにしましょう。

例えば、下記の求人票は未経験でも応募可能な求人の仕事内容欄を抜粋したものになります。

上記求人の企業へ転職した場合、経費処理サポートをメイン業務として、来客・電話対応、データ入力、資料作成など幅広い事務作業を担当することになります。

転職後に経験する仕事内容は、その後のキャリア形成に大きく影響するため、応募先を選ぶときは他の求人と比較しながら仕事内容をチェックしてください。

経験なしでも人気の事務職で通用するスキルとは

また未経験から事務職へ転職するために、どのようなスキルが求められるのか事前に理解した上で転職活動に取り組むことは重要です。

事務職でコミュニケーションスキルが重要だと思う人は多いですが、コミュニケーションスキルはどのような職種、業界でも求められます。例えば、営業職のようにお客さんから信頼を得ることが重要な仕事もコミュニケ―ションスキルは必須です。そのほか、栄養士や保育士でも同じ職場の人と協力しながら仕事を進めるときはコミュニケーションスキルが必要になります。

もし事務職に転職したいのであれば、コミュニケーションスキル以外にどのようなスキルが求められるのかを事前に把握しておきましょう。ここでは、未経験者が事務職へ転職するときに求められるスキルについて解説していきます。

事務職に役立つPC(パソコン)操作スキル

事務職の基本作業は、PCを使った資料作成やデータ入力になります。そのため、タイピングの速さやWord(ワード)、Excel(エクセル)などのソフトウェアを使いこなすスキルは、仕事を進める速さに直結します。

ただ経験不問(未経験が応募可能)の事務職求人では、難しいPC操作ではなく、基本的なPC操作スキルが求められる傾向にあります。例えば、下記の求人票は関東エリアが勤務地の不動産企業の事務職の求人募集になります。

上記求人の企業の場合、「基本的なデータ入力ができるPC操作スキル」があれば、応募条件を満たすことになります。つまり、Wordであれば日本語入力が可能、Excelであれば数字の入力ができるPC操作スキルがあれば問題ありません。

どの程度のPC操作スキルを求めるかは応募企業によって違うため、特にPC操作に自信がない人は必ず確認するようにしましょう。

なお、未経験でもPC操作が得意な人であれば仕事を早くこなすことができるため、採用後も社内評価は高いでしょう。ただ、その分多くの仕事を任されることになるため、早く仕事をこなせるからといって仕事が楽になるわけではありません。周りの従業員の仕事が遅れていれば、その作業のフォローに入ることも想定しておかなければいけません。

直面する課題の改善に取り組むスキル

これまでの実務経験の中で直面する課題の改善に取り組んだ経験・スキルがあれば、未経験から事務職への転職でも活かすことができます。

上記で述べましたが、誰でもできる単純な入力作業は派遣社員やAIでもこなすことができます。そのため、単純な事務作業以外の部分で価値を生み出すスキルがあれば、たとえ未経験から事務職へ応募する場合であっても有利に進めることができます。

例えば、これまで経験してきた実務経験の中で以下のような経験・スキルがあれば未経験からの転職でも強みになります。

  • 営業職で売上げを伸ばすために、商品のアプローチ方法を改善した経験
  • 販売職で売上げを伸ばすために、お客さんから話しかけられやすい接客を実践した経験
  • 栄養士として顧客の食生活を改善するために、考案した指導方法を実践した経験

上記のように、課題解決に取り組んだ経験・スキルがあれば、事務職へ転職しても活かせるスキルといえます。

たとえ事務職であっても、「どのようにすれば、もっと効率よく事務作業が進められるのか」「どのようにすれば、他の従業員と情報共有できるのか」といった課題に必ず直面することになるからです。

そのため、課題に対して問題意識を持って改善に取り組むスキルは事務職でも非常に重要なスキルといえます。

資格なしでも一般事務職へ転職することはできる?

なお、資格なしの未経験者でも事務職へ転職できるのか気になる人も多いでしょう。未経験だからこそ、PC関連の資格を事前に取得しておけば転職で有利になるのではと考えがちです。

結論から述べると、事務職への転職で資格の取得を必須要件とする求人はほぼありません。そのため、事務職未経験でPC関連の資格がなくても転職することは可能です。

ただし、PC操作にどうしても不安がある人はPC操作の研修やサポートが手厚く受けられる求人を選ぶと良いです。例えば、下記の求人票は大手メーカー企業の事務職の求人募集になります。

上記求人のように、PC操作について基礎から学ぶことができる企業へ転職すれば、PC操作を着実に身に付けることが可能です。

ただ、これまでにも述べたとおり、PC操作スキルがあることに越したことはありません。MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)など、すでに取得している資格があるのであれば、自身の強みとしてアピールすることができます。

しかし、転職内定は資格の有無だけで決まることはなく、これまでの実務経験や面接の内容などを含めて総合的に判断されることになります。

先延ばしすると大変!未経験から事務職へ転職するときは年齢に注意

未経験者として事務職へ応募するとき、「何歳まで応募することができるのか」年齢を気にする人は多いです。求人を募集する企業によって採用の条件は違うため、「未経験者は40歳まで可能」といったように転職市場で統一された基準は存在しません。

ただ未経験で一般事務職への転職を考えているのであれば、年齢は若い方が転職しやすいです。採用する企業にとっても、なるべく若い人材(20代)を採用した方が人件費の負担は軽く、将来的に長く活躍してくれる可能性が高いからです。

そのため、中には応募条件に上限年齢を記載している一般事務職の求人があります。例えば、下記の求人票は東京に本社がある中小企業の事務職の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職したい場合、応募するときの年齢の上限は30歳になります。そのため、上限年齢を超えている場合は申込みしても書類選考で落とされてしまいます。

上記求人のように年齢の上限を記載している求人の数は決して多くありませんが、30代を超えると申込みできる求人の数が減り、書類選考も通過しにくくなることは認識しておかなければいけません。

「あの時に転職しておけば良かった」と後悔しないためにも、転職に悩んだ今のうちに決断して行動しましょう。

未経験者は必須!一般事務へ転職するための志望動機の作り方

実際に未経験で事務職へ転職するとき、履歴書の作成や面接は避けて通ることができません。特にその過程で、必ず確認される志望動機の作成は転職で最も重要な部分でもあるため、時間をかけてでも戦略的に作り込む必要があります。

たとえ転職を考え始めたきっかけが「人間関係の悩み」「ノルマが厳しい」といった転職理由であったとしても、そのまま志望動機にしてはいけません。そのようなネガティブな理由を聞いた面接官は「人間関係の構築が苦手なのか?」「採用してもすぐに辞めてしまうのでは?」など、逆に悪い印象を持ってしまうだけだからです。

そのような理由はあくまでも転職を考えたきっかけとし、「これまでの経験を活かして即戦力として活躍できるように頑張りたい」と、前向きな志望動機を作成することが重要です。そこで、以下3つのポイントを意識して志望動機を作成することで、他の応募者との差別化を図りましょう。

  • なぜ、事務職へ転職したいのか
  • なぜ、この会社を選んだのか
  • これまでの実務経験をどのように活用したいのか

上記のポイントを意識しながら、これまでの実務経験の内容をもとにオリジナルの志望動機を作成するようにしてください。例えば、以下は食品メーカーの営業職から事務職へ転職することを想定した志望動機例になります。

営業職として目に見える成果を追い続けてきましたが、その陰でサポートしてくれた事務職の仕事に魅力を感じました。また、事務作業が苦にならないタイプで、資料作成や経費精算など営業活動以外の仕事にも力を入れてきました。

営業事務へ転職することも選択肢としてありましたが、キャリアチェンジするのであれば組織活動を幅広くサポートできる事務職へ転職したいと考えています。

デスクワークだけでなく受付から来客まで幅広く対応する御社の事務職であれば、未経験ながら営業で培ってきた対人スキルが活かせるのではと思い、志望いたしました。

上記の志望動機例のように、未経験からの転職の場合は「なぜ、事務職へ転職したいのか」を自己PRしつつ、営業の経験を事務職でも活かしたいと伝えるようにしましょう。また未経験者として応募するからこそ、これまで経験してきた実務内容をすべて洗い出し、転職先でどのように経験を活かせるのか具体的に示すことが重要です。

ただし、応募する企業ごとに求める人材スキルや理想の人物像は違うため、上記の志望動機例は参考程度でしかなく、志望動機の内容は応募する企業ごとに変えるようにしてください。

転職サイトをうまく活用すれば、未経験でも事務職へ転職できる

ここで述べてきたことを理解し、正しく転職活動に取り組めば、たとえ未経験であっても事務職へ転職することは可能です。しかしながら未経験の分野へ転職を試みる多くの人が、どのように転職活動に取り組めばよいのか悩みます。

事務職は倍率が非常に高いため、できる限り多くの求人に応募していく必要がありますが、どのような求人が自分にとって最適なのか一人で見極めていくには限界があります。

そこで未経験で事務職へ転職する人の多くが転職サイトに登録し、より多くの求人情報を手に入れながら転職活動を行っています。転職サイトを利用し、担当コンサルタントに転職条件を相談すれば、その条件に見合う求人を一緒に探してくれます。そのため、1人で求人を探すよりも効率良く求人情報を手に入れることができ、転職活動に集中することができます。

ただし、登録する転職サイトによって扱う求人に違いがあることや担当のコンサルタントとの相性もあるため、転職サイトへは3社以上登録しましょう。そうして転職エージェントを有効に活用することで、自分に見合う最適な求人を見つけることができるのです。

未経験から事務職へ転職し、新たなキャリアパスを考える

事務職は他の職と比べて働きやすい環境であることは確かです。実際に定時で帰ることができる企業も存在し、仕事とプライベートにメリハリが付く職場は多いです。

ただ事務職は非常に人気があるため、未経験で事務職へ転職しようと思ってもスムーズに転職できないことがあります。そのため、たとえ未経験者あっても転職後にどのように活躍したいのか具体的に示すことができなければ、少ない採用枠で採用されることはありません。

そこで、これまで経験してきた実務から未経験の事務職で活かせる経験やスキルがないか徹底的に自己分析してみてください。PCスキルだけでなく、あなたが直面した課題や工夫したこと経験があれば、強みとしてアピールすることができます。

そうして正しい知識を持って諦めずに転職活動に取り組めば、特筆する資格がなくても未経験から事務職へ転職することができます。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。