一般事務や営業事務の転職を考えるとき、「資格を取得した方が有利に転職できるのでは?」と考える人は多いでしょう。

専門的な知識を身に付けることができる資格はスキルアップに非常に役立ちますが、転職実現に直結する訳ではありません。一般事務や営業事務でも資格なしで転職できる求人が多く占めており、企業が必ずしも資格取得者を求めている訳ではないからです。そのため、資格にこだわり過ぎると転職で必ず失敗してしまいます。

そこで、求人を募集する企業側が資格取得者をどのように評価するのか正しく理解し、転職活動の取り組み方について考える必要があります。

以下では、一般事務・営業事務に役立つ資格を紹介しつつ、どのような考え方で資格の取得と向き合いながら転職活動に取り組むべきかについて解説します。

役立つ資格を取得すれば事務の転職で有利なのか?

役立つ資格を取得することで、資格に関係する業務知識を深く理解することに繋がり、スキルアップに繋がることは確かです。そのため、一般事務や営業事務への転職でも、必要な資格を持っていた方が転職で有利になりそうなイメージを持ってしまいます。

しかし実際には、一般事務や営業事務のほとんどの求人が無資格で応募することができ、転職を実現させることが可能です。例えば、下記の求人票は大阪に本社がある中小企業の事務職の求人募集になります。

上記求人のように、一般事務・営業事務の正社員求人で資格が必須スキルとして求められることはほぼありません。求人を募集する企業は基本的に資格の有無に関係なく、即戦力として活躍してくれる人材を採用したいと考えているからです。

特に未経験で転職に挑むときは「実務経験がない分、必要な資格を取得した方が良いのでは?」と思いがちになるため、注意が必要です。そのため、一般事務や営業事務の転職で資格を取得することが必ずしも有利になる訳ではないことを認識する必要があります。

一般事務・営業事務におすすめの資格4選

資格の取得が転職で絶対的に有利になる訳ではないとはいえ、資格を取得することで一般事務や営業事務で役立つ専門的な知識を身に付けることができます。そのため、事務職に役立つ資格を取得すれば務作業を効率良くこなすことができ、スキルアップを図ることもできます。

そこで、以下では一般事務・営業事務で役立つおすすめの資格について順に解説していきます。

MOSは事務職全般に役立つ資格

MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)はマイクロソフトが認定する国際資格で、具体的な試験科目として「Word」「Excel」「PowerPoint」「Access」「Outlook」の5つの科目があります。

MOSの資格を取得することにより、日常的に使う機会が多いマイクロソフトオフィスのアプリケーションツールを使いこなすスキルを身に付けることを目的としています。特に一般事務・営業事務ともにWord、Excelを中心に資料を作成する機会が非常に多いため、MOSの資格を取得することで「より速く・より分かりやすく」資料を作成することができます。

例えば、Wordであれば図形や写真の挿入を使いこなして説明資料を作成することができたり、大量に通知を作成するときに役立つ差込印刷も容易に使いこなせたりします。また、Excelであれば関数やグラフを使って企業の統計資料を分かりやすく作成することもできるでしょう。

何か資料を作成するときに、これらのソフトツールの操作方法が分からなければ、操作方法が分かる他の従業員に聞いたり自分で参考書やインターネットで検索したりして操作方法を確認しなければいけません。

そこで、MOSの資格を取得しておけば、周りを頼りにすることなく事務作業を進めることができます。

【試験概要】

マイクロソフトオフィスのアプリケーションは、バージョンが更新されるごとに新しい機能が追加・変更されるため、資格試験の区分は各バージョンごと(Word 2010、Excel 2013、Word 2016など)の実技試験になります。

  1. Word(文書作成ソフトウェア) スペシャリストレベル(一般レベル)/ エキスパートレベル(上級レベル)
  2. Excel(表計算ソフトウェア) スペシャリストレベル(一般レベル)/ エキスパートレベル(上級レベル)
  3. PowerPoint(プレゼンテーションソフトウェア)
  4. Access(データ管理システムソフトウェア)
  5. Outlook(個人情報管理ソフトウェア)

なお、WordとExcelについては、「スペシャリストレベル(一般レベル)」と「エキスパートレベル(上級レベル)の2種類に分かれており、受験時のスキルに応じて選択することが可能です。

日商簿記検定は経理事務や中小企業に有利

簿記検定にはいくつか種類がありますが、日本商工会議所及び各地商工会議所が主催する日商簿記検定が最も有名です。

経理事務は会社のお金の流れ(収入・支出)を管理することがの目的ですが、簿記を勉強することで、企業の経営状況や財政状況を公表するために必要な業務の専門的な知識を身に付けることができます。

経理事務は本来、一般事務や営業事務と別業務として考えられることが多いですが、従業員数が少ない中小企業の一般事務・営業事務では経理事務を兼任するケースが多いです。

例えば、下記の求人票は広島に本社がある中小企業の一般事務の求人募集になります。

上記求人の企業の場合、一般事務として来客対応、電話対応を中心に仕事をこなしながら納品書・請求書発行業務、台帳管理といった経理事務を兼務することになります。また、上記求人では簿記の資格取得はマストではありませんが、経理事務をこなすことを想定して簿記の知識が求められていることになります。

このように、簿記の知識を身に付けることができれば経理事務の理解力が深めるだけでなく、将来的に経理事務の専門家としてキャリアチェンジを視野に入れることもできます。

【試験概要】

1級:

極めて高度な会計処理全般を学び、会社法、企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析ができるようになることを目的としています。大企業規模の簿記知識を想定しています。

(出題科目):商業簿記・会計学、工業簿記・原価計算

2級:

高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、財務諸表の数字から企業の経営状況を判断することがでるようになることを目的としています。中小企業規模の簿記知識を想定しています。

(出題科目):商業簿記・工業簿記

3級:

簿記に関する基礎知識を学び、経営関係書類の適切な処理など初歩的な実務がある程度可能となることを目的としています。小規模な株式会社における経理担当者の簿記知識を想定しています。

(出題科目):商業簿記

秘書検定は一般事務・営業事務にもおすすめ

秘書検定は、公益財団法人実務技能検定協会が実施する検定試験です。

ビジネスシーンにおける第一印象は非常に重要であり、第一印象でその人のイメージが大方決まります。女性に人気のある秘書だけでなく、一般事務や営業事務でも日頃から窓口や電話対応でお客さんや取引先業者と接するため、社会人としてのマナーは身に付けておきたいものです。

秘書検定では、このような第一印象を決定付ける「気遣い」「振る舞い」「話し方」「態度」といった社会人として必要とされる常識やマナーについて知識を深めることができます。

もし、社会人として常識的なマナーや接遇ができなければ相手に悪い印象を与えてしまい、最悪の場合、信用を失うことになります。どのような人と接しても「印象のよい事務職員」を目指すのであれば、秘書検定の取得はおすすめです。

なお、将来的に秘書へ転職すること視野に入れているのであれば、秘書検定の資格は目に見えるステータスとして転職の際にアピールすることができます。

【試験概要】

3級:

社会人として基本的なマナーや常識が問われます。上司が効率よく業務をこなすためには、どのようなことに気を利かせればよいか、どのように対応すれば感じがよいかについて基本的な内容が問われます。

2級:

上司が効率よく業務をこなすために、適切なフォローの優先順位を判断する能力が問われます。感じのよさだけでなく、効率のよい仕事のこなし方まで求められます。

準1級:

上司から相談を受けることや後輩従業員へのアドバイスといった判断力や対応力が問われる中級の秘書像を想定しています。面接試験が実施され、人柄について実践的な側面からも評価されます。

1級:

上級の秘書を想定し、上司の仕事の理解力や秘書がやるべきことについて問われます。さらに、上司が常に仕事に集中しやすい環境を作るために、先を読んだ行動力が求められます。

TOEICは外資系企業の事務職に有利

一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)が実施するTOEICは、英語によるコミュニケーション能力を評価する世界標準の英語検定試験です。

まだまだ日本人で英語を話せる人は少ないため、非常に汎用性の高い使えるスキルといえます。特に英語を頻繁に使う外資系企業の事務職の転職の求人では、英語力を求める求人が多いです。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある外資系企業の営業事務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職したい場合、日常会話にレベルの読み書きができる英語力が必要になります。つまり、メールや文書で英語を使う場面が想定されますが、直接英語で話す業務は想定していないことが分かります。

ただ、求人によっては日常会話レベルの英語力を求める企業もあるため、どの程度英語力が求められるかは求人の応募条件を企業ごとに確認する必要があります。

また、外資系企業に限らず事務職の仕事をしていれば窓口や電話対応で外国人のお客さんを対応することもあります。完璧な英語で対応する必要はありませんが、相手の言っている内容がある程度理解でき、問い合わせに対する回答できれば英語ができる従業員や通訳に頼る必要がありません。

もし英語を得意にすることができれば、将来的に英語を頻繁に使う外資系企業の事務職への転職や英文事務(英語を使用する事務)へのキャリアチェンジも視野に入れることができます。

【試験概要】

リスニングセクション:写真描写問題・応答問題・会話問題・説明分問題

リーディングセクション:短文穴埋め問題・長文穴埋め問題・長文読解問題

役立つ資格は強みになるが、転職することを目的にしてはダメ

資格の取得は専門的な知識を身に付けることができるため、転職のときに強みとして自己PRすることができます。

ただ上記でも述べたとおり、資格の取得が必ずしも転職で有利になるとは限りません。そのため、転職することを目的に資格を取得しようとしてはいけません。

例えば、外資系企業の事務職へ転職を目指してTOEICスコア700点以上を達成しても、上達した英語力を転職した後にどのように活かしたいのか具体的にイメージできていなければ意味がないからです。

資格の取得は転職した後にでも取得することができるため、資格取得の勉強に打ち込むことが今の自分にとって最も優先順位が高いのかを考える必要があります。

もし、先に資格を取得するために勉強に打ち込むのであれば、その分転職活動の開始時期を先延ばしにすることになります。資格の取得が必須の求人に応募するのであれば話は別ですが、そうでない場合は転職活動を先に始めることを考えるべきです。

転職ではなく、スキルアップのために資格を取る

一般事務や営業事務へ転職するために資格を取得するか迷った人は、正しい転職の方法を理解しなければいけません。

資格の取得は実務に役立ちますが、転職で必ずしも有利になる訳ではありません。そのため、転職することを目的に資格を取得するのは間違った考えなので改めましょう。

ただ中には一般事務や営業事務の仕事に役立つ資格もあり、資格を取得することで実務の専門的な知識を身に付けることができます。資格の取得で身に付けた知識をどのような業務に活かしたいのか具体的にイメージできているのであれば、スキルアップを目的として資格を取得するのは良いです。

ただし、これから転職を考えるのであれば「今、資格を取得する必要があるのか」を真剣に考えてください。転職した後にでも勉強時間さえ確保すれば、資格の取得を目指すことはできます。

もし、不安があるのであれば複数の転職サイトを有効に活用しながら転職活動に取り組んだ方が転職できる確率は高まります。将来的に資格が活かせる事務とはいえ、誰もが知る大手企業から中小企業まで多くの求人があり、その中から自分に最も見合う求人を見つけなければいけません。

結果的に資格だけにとらわれない働き方を目指して転職活動に取り組んだ方が、理想の転職を実現することができるのです。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。