キャリアアップを目指して総務職への転職を検討している方の中には、「どうすれば年収アップが実現できるのか?」と考えてしまう方は多いと思います。

結論から言いますと、年収は転職先の企業の規模、経営の業績、あるいは募集をかけている人材に対する企業の価値によって変わります。このほかにも、年収に影響するものとして、年齢、勤務年数、役職、残業時間などがあります。

年収に影響する内容をいくつか挙げてみましたが、様々な要因があることに気付くと思います。

そのような中で、世の中には総務職を何年も経験し、キャリアアップを目指して転職活動した結果、年収アップを実現させる方もいます。

しかしながら、転職先で年収アップを実現させることは簡単なことではありません。転職して年収アップを実現させるためには、これまでの経験や転職先でのビジョンをしっかりと考えた上で面接に挑む必要があります。

そこでここでは、総務職へ転職し、さらに年収アップを実現させるために必要となる知識について解説していきます。

総務職の平均年収はどれくらいか?

総務職の平均年収の相場はどれくらいか? 他の職種と比べてどうなのか? と気になる方は多いと思います。

一般的に大手企業の方が経営資源は豊富であるため、中小企業よりも年収が高い傾向にあるのは事実です。

私は過去に従業員約2000人規模の大手企業の総務部で働いていました。以下の写真はあくまでも参考程度ですが、私が27歳の時の年収になります。

上記に掲載した写真のとおり、この頃の私の年収は450万円程でした。年収にはもちろん残業代が含まれていますが、多いときで1ヵ月に40時間程度残業する月もあったり、少ない時はほとんど残業しない月もあったりしました。

後ほども触れますが、大手企業であれば、時間外勤務手当(残業手当)がしっかりと支給されますので、安定した収入が望めます。

全国の平均年収と比較すると、総務職の平均年収は高いか?低いか?

現在では、国の機関や転職サイトを運営している会社など様々な機関がそれぞれ独自に調査を行い、民間企業労働者の平均年収を公表しています。

調査方法や対象の違いによって結果に多少ばらつきがありますが、以下の年収データは転職サイトのdoda(デューダ)が2017年の1年間で調査した総務の平均年収の結果です。

全体平均 475万円
男性平均 526万円
女性平均 377万円
20代平均 351万円
30代平均 443万円
40代平均 549万円
50代平均 693万円

また、国税庁が2018年に発表した「平成29年分民間給与実態統計調査」の結果によると、男性の平均年収は532万円、女性の平均年収は287万円となっています。

このことから参考程度でしかありませんが、総務職に勤める男性の平均年収は全国の男性平均年収と同じぐらいであり、総務職に勤める女性は全国の女性平均年収を上回っていることが分かります。

上記の年収からも読み取れますが、女性にとって総務職は働きやすい職場環境であると言えます。さらに、福利厚生が充実している企業であれば、結婚して出産した後も仕事に復帰する女性が非常に多いです。

そのため、総務職に勤める女性は仕事を長く続ける方が多く、年収が比較的に高い水準となっています。

総務職への転職で年収をアップさせる要素は何か?

総務職への転職に成功し、さらに年収もアップすることで仕事のモチベーションが上がるのであれば、それは望ましいものです。

しかしながら、総務職への転職を実現させたとしても、年収が上がるとは限りません。なぜなら、総務を含めた一般事務系職種は営業、企画、コンサルティングなどの職種と違って、営業成績や成果に応じて報酬を受け取るインセンティブ評価が用いられることがほとんどないからです。

このことを踏まえると、総務職への転職で年収アップを実現させるためには、以下のような条件を持っている方でないと年収アップは難しいと考えてください。

  1. 総務部の管理職経験者(候補者)
  2. 総務部のマネージャー経験者
  3. 総務職の業務で必要となる専門的な知識や経験がある

それぞれの条件について、解説していきます。

①総務部の管理職経験者(候補者)

会社によりますが、総務職でも管理職になると年収が1000万円を超える可能性があります。私が勤めていた大手企業の総務部では50歳以上の部長であれば約1200万円、課長で約1000万円の年収でした。

例えば下記の求人票は、東京にある大手企業の総務部長の求人募集になります。

求人票に記載のとおり、管理職は年収が高く、管理職手当(役職手当)が支給されますが、残業手当は一切出ません。

また、管理職は年収が高い分だけ仕事が忙しく、何人もの職場の部下を束ねて責任を負うことになります。

このようなことから、管理職の経験者だけではなく、管理職の候補者として転職される方も、上記の内容を踏まえた上で転職する覚悟が必要となります。

②総務部のマネージャー経験者

転職前に総務職でのマネージャーの経験があると、転職する際に有利になることが多いです。大人数の部下を取りまとめた経験があったり、大きなプロジェクトのリーダー経験があったりすると年収アップに繋がる可能性が高くなります。

下記の求人票は大阪が本社の大手外資系企業の求人募集になります。

大手外資系企業となると、総務職のマネージャー経験者であっても企業によっては年収1000万円を超えるような求人もあります。

特に外資系企業は、実力主義の人事評価制度を採用している企業が多く、日系企業と比べて年収が高い傾向にあります。また、外国語(特に英語)スキルを求める企業が多く、キャリアップを目指す方にとってはチャレンジする価値があるといえます。

ただし、外資系企業は日系企業と違って退職金制度が基本的にありません。外資系企業を狙う方は、そのような特徴を理解した上で転職活動に取り組むようにしてください。

③総務職の業務で必要となる専門的な知識や経験がある

上記で挙げた管理職やマネージャー経験ではなくても、総務職で必要とされる専門的な業務の知識や経験があれば、転職する会社によっては年収アップを狙うことができます。

例えばですが、下記のような求人票の場合に求められる人物像について考えてみたいと思います。

このような求人では、株式上場を目指す企業の総務職で、株主総会関連業務を取りまとめて会社の上場に貢献した経験などがあれば、転職する際の評価も高くなります。

転職前の企業で総務職の経験を積んで、それなりの専門的な経験や知識を持っている方であれば、年収700万円以上を実現できる可能性もあるのです。

総務職の未経験者や業務の経験が浅いと、転職で年収アップは厳しい?

逆に、総務職の未経験者や経験が浅い方が総務職へ転職する場合は、年収アップを望むことは現実的に考えて難しいです。たとえ総務職で役立つ資格を持っていたとしても業務の「経験」がないと年収アップは厳しいと考えてください。

なぜなら、いくら資格を持っていたとしても、業務の経験がなければ転職先で「即戦力」として活躍することができないからです。

例えば、あなたが社会労務士の資格を持っていたとしましょう。

しかし、現時点で社会労務士の仕事とは全く関係のない仕事をしていたとすると、転職先でいきなり社会労務士の仕事を行うことができないのは明らかです。

即戦力として働くためには、転職先で求められる業務と同じような経験が必要となります。このことから、転職者を募集する企業は資格や知識よりも「経験」に価値を置いていることが分かります。

総務職への転職で年収アップを実現させるために確認すべき2つのポイント

転職活動をして転職先が決まった場合、その会社と雇用契約書を取り交わすことになります。実際に、転職先と雇用契約書を取り交わすまでに以下のポイントを確認するようにしましょう。

  1. 基本給・賞与(ボーナス)
  2. 福利厚生・各種手当

この2つのポイントは年収アップに大きく影響するため、必ずおさえておきましょう。

それぞれについて、具体的に述べていきます。

①基本給・ボーナス(賞与)

基本給は、各種の手当(残業手当、住宅手当、通勤手当など)を全て除いた毎月一定の金額でもらえるお金のことになります。会社の規模や業務の特殊性により変わりますが、一般的には中小企業よりも大手企業の方が高くなる傾向にあります。

なぜなら、大手企業の方が経営資源は豊富であるため、人件費に多くの資金を割り当てることができるからです。その結果、その会社の全体的な給与水準が高かったりします。

以下の写真は、私が27歳の時に大手企業の総務職で働いていた時の給与明細になります。

こちらの給与明細の内訳は以下のようになります。

  • 基本給:191,900円
  • 地域手当:34,542円
  • 住居手当:8,300円
  • 時間外勤務手当:39,270円
  • 通勤手当:52,220円(6ヵ月に1回支給)

以上から、総支給額は326,232円となり、そこから社会保険料など51,319円を差し引くと、この月の手取り額は274,913円となります。

ただし、上記の給与明細は半年に1回支給される交通費が含まれています。また、時間外勤務手当も含まれているため、これらの手当91,490円(時間外勤務手当39,270円+通勤手当52,220円)を差し引くと、手取りの月給は183,423円となります。

このほか、給料明細の中で「地域手当」がありますが、こちらは都心部で働く従業員に対して支給される手当になります。都心部の物価の高さを考慮して、各地域で働く従業員との物価の差を埋めるための手当として支給されていました。

また、基本給以外にも年収に大きく影響するものとして、ボーナス(賞与)があります。

会社の中にはボーナスが支給される会社もあれば、支給されない会社もあります。特に外資系の会社などは年俸制を採用しており、ボーナスが支給されない会社があったりします。

転職を希望する会社でボーナスが支給される会社であるかどうかは必ず確認するようにしましょう。

また、企業の業績により変動することがありますが、ボーナスの「支給月数」も年収に大きく影響します。なぜなら、支給月数が大きいほどボーナスの支給額が高くなるからです。

私が27歳の頃に働いていた大手企業のボーナスの年間支給月数は3.7月でした。一例ですが、この年のボーナスの総支給額は約85万円でした。この頃の周りの大手企業のボーナス支給額と比べると少し低かったようです。

一方、中小企業に勤めている方でも多額のボーナスを貰っている人が存在します。私の友人が中小企業に勤めていますが、驚くぐらい多くのボーナスが支給された話を聞いたことがあります。

実際に中小企業に勤めていて、そのような企業に勤めている方の割合は少ないのが現状です。しかしながら、大手企業に劣らないボーナスを支給する中小企業も世の中には存在するのです。

転職活動の際には「基本給」と「ボーナスが支払われる会社であるかどうか」は必ず確認するようにしてください。

もし、友人や知り合いが転職を希望する会社に勤めていたり、同業種で同じ規模の会社に勤めていたりするのであれば、年収がどれぐらいなのか直接聞いてみるのも良いでしょう。

そうすることで、転職を希望する会社の年収の相場を知ることができます。

②福利厚生・各種手当

従業員の生活をサポートする福利厚生制度が充実しているほど、豊かな生活を送ることができます。

なぜなら、仕事をしながら生活していく上で必ず必要となる経費の一部を会社の福利厚生制度として支給される補助金が補ってくれるからです。

会社の福利厚生制度で支給される手当の例としては、具体的には「住宅手当」「通勤手当」「家族手当」などがあります。また、福利厚生の内容もそれぞれの企業で共通のものもあれば、企業独自の内容のものがあったりします。

総務職の場合は、営業職のような営業手当が支給されることはありません。そのため、会社の従業員全員に公平に支給される手当が充実しているほど、手元に残るお金が多くなります。

総務職へ転職することを考えると、企業によって大きく差が出る手当は「住宅手当」になります。なぜなら、企業によっては社員寮が完備されていたり、住宅手当が多く出る会社があったりするからです。

例えば、以下のような求人募集を出している企業では、会社の福利厚生制度として住宅手当が補助されることになります。

なお、私が過去に勤めていた大手企業の住宅手当は1か月あたり8,300円でした。当時、別の大手企業に勤めていた友人の中には「自己負担は20,000円で、残りは会社が負担」という方もいました。

もし、家賃70,000円の住宅に住んでいたとすると、住宅手当が8,300円の場合、自己負担が61,700円となります。家賃の自己負担が20,000円と比べると、住宅手当だけで月に41,700円もの差が出ることになります。

また、会社に社員寮が完備されていれば社員寮に入居することで、家賃の負担を少なくすることができます。例えば、以下のような求人募集を出している企業では、社員寮が完備されているため、家賃をできるだけ抑えたい方はチェックするようにしましょう。

このように、住宅手当の支給額や社員寮に入居するかどうかで、手元に残るお金の金額が大きく変わることもあるのです。

総務職へ転職し、年収アップを実現させる給与交渉の方法

ここまでは、転職して年収アップが実現する理由として、これまでの経験や能力が評価される点、あるいは会社の待遇が良い点であることを述べてきました。

それ以外に年収アップを目指す方法として、給与交渉があります。

転職者を募集する企業の採用担当者は、給与交渉があることを視野に入れて面接の準備を行っていることが多いです。

なぜなら、応募者の中に企業が求める人材がいたとしても、給与の話で折り合いがつかずに内定辞退されてしまう可能性があるからです。

企業側もできるだけ内定辞退は避けたいため、給与についてはできるだけ幅を持たせて記載している企業があります。

例えば、転職者向けの求人募集の給与欄に「500~650万円」「経験・能力を考慮し、決定」といった内容が記載されているのを見たことがある方は多いと思います。

以下の求人票は東京が勤務地のベンチャー企業ですが、年収は360~960万円の間で、これまでの社会人としての経験や能力を考慮して決定することになっています。

このように、求人募集の給与について幅を持たせて記載している企業は、給与交渉することで年収アップを実現できる可能性があります。

しかしながら、給与交渉を行うためにはそれなりに事前の準備が必要となります。なぜなら、給与交渉も面接の一環であり、志望動機と同様に採用担当者を納得させる説明を行う必要があるからです。

そこで、自身の転職市場の価値を知るために分析が必要となり、転職先の会社でどういった貢献(活躍)ができるか具体的に説明できるようにしておかなければいけません。

例えば、転職先で自身のこれまで培ってきたスキルが活かせるようであれば、以下のような給与交渉の方法があります。

希望の年収は前職の10%アップを希望しています。前職の年収は残業代を含め450万円でした。私は前職で主に株主総会に関連する業務に5年間携わり、そのうち最後の2年間はリーダーとして業務に邁進してきました。

特に株主総会の議事進行がスムーズに進行するように、事前の準備に力を入れてきました。議事進行を進める議長、各議案の内容を説明する取締役、そして議案内容を確認する監査役への連絡事項や資料準備を含めた調整を徹底的に強化することで、株主総会当日の議事進行をスムーズに展開するサポート体制を確立することに貢献してきました。

ほかにも、株主総会開催の準備から閉会まで必要となる知識を身に付けるための勉強を常に行いつつ、業務の課題を研究して効率化を図るために業務進行マニュアルの改訂にも取り組んできました。

これまでの5年間の経験を活かして、これから株式上場の準備を進めていく貴社の株主総会に関わる業務の即戦力としてお役に立ちたいと強く思っております。

上記のような理由を述べることで、これまでの経験や実績から即戦力として活躍できる人材であることを採用担当者に強くアピールすることができます。

また、具体的に希望年収の金額を提示するのではなく、例えば、「年収は貴社の規定に従います。ですが、採用後の業務成績次第では年収の見直しを検討する機会を作っていただけると幸いです。貴社にとって即戦力の人材となるように全力で邁進いたします」といった回答をすることで、年収が最優先ではないことを採用担当者に印象付けることもできます。

そして、転職後の頑張り次第では交渉どおりに年収アップを実現できる可能性もあるのです。

給与交渉で年収アップを目指すなら転職エージェントを活用しよう

これから転職活動を検討している方の中には給与交渉することに対して自信がなかったり、苦手意識を持っていたりする方がいるかと思います。

そこで、3社以上の転職エージェントを活用して求人の幅を広げながら、給与交渉の仲介を依頼しましょう。転職エージェントは転職に関する相談だけでなく、面談に至るまでの手続きや給与交渉まで幅広く対応してくれます。

また、総務職で年収アップを狙う方の中には大手企業の総務職への転職を目指す方もいるかと思います。

転職エージェントは大手企業の非公開求人も情報として持ち合わせているため、大手企業を目指す方にとっては転職エージェントを利用することで得られるメリットは非常に大きいです。

つまり、転職エージェントを利用しながら転職活動を行うことで、実際に転職した時に自分に見合った年収を確定させることができるのです。

総務職へ転職して実現したいことを考えよう

総務職へ転職した時、年収に影響を与える要因として「これまでの業務の経験」「会社の待遇」である点を述べてきました。そして、年収アップを図るための方法として「給与交渉」が重要である点も確認しました。

もし、あなたがキャリアアップを目指す強い意志を持っているのであれば、転職先で年収アップを目指す価値は大いにあります。そのような志を持って転職した場合、転職先でも成果を期待される可能性は高いでしょう。

その反面、転職する会社によっては残業が多くなり、プライベートの時間が削られることも覚悟しなければいけません。

「目指すキャリア」「出産・育児」「家族との時間」など人それぞれ取り巻く環境は全く違います。

転職活動の際は年収だけにとらわれず、転職先の仕事を通してどのような貢献ができるのか? 深く考えて転職活動に取り組む必要があります。自身がどのようなライフスタイルを目指すのか、今一度転職活動に取り組む前に深く考えるところから始めてみてください。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

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そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。