事務職で人気のある職種の1つに総務職があります。総務は経営者に最も近い部門として、企業経営に欠かせないさまざまな業務を担います。

しかし、総務で働く方の中には、未経験の職種へ転職したいと考える方がいます。未経験の職種へ転職を考える場合は、仕事内容や必要となるスキルが変わるだけに事前準備をしっかりと行い転職活動に取り組む必要があります。

また、企業の規模や経営方針によって、総務で請け負う仕事内容や忙しさが変わります。その特殊性から残業が多い企業の総務では、定時帰りの当初の理想とのギャップに思い悩んでしまう方もいます。

人によっては忙しい中でもやりがいを見つけて、将来的なキャリアを形成していく人もいますが、全員がそのような道を歩むことはありません。

そこでここでは、総務から未経験の職種へ転職を考える前に確認すべきポイントについて解説します。

総務から異業種へ転職する場合のおすすめの職種

総務から異業種へ転職することを考えるとき、これまでの業務を通して積み上げてきた経験やスキルをできる限り活かせる職種を選ぶようにしたいものです。それでは、総務での業務経験やスキルを活かせる職種として、どのような職種があるのでしょうか。

総務事務を経験してきた方が異業種へ転職する場合のおすすめの職種として、以下の職種があります。

  1. 人事職
  2. 経理職
  3. 営業事務
  4. 秘書
  5. 営業職

以上の職種について、具体的に総務の経験をどのように活かせるのか解説していきます。

総務から人事職は人事労務の実務経験が重要

総務と同じく、企業組織の管理部門に位置する人事職への転職はおすすめです。勤める企業によっては総務が担当する業務の範囲は広く、総務事務以外に採用・退職手続き、研修の実施、従業員の給与手続き、社会保険手続きなどの人事に関わる業務を兼務している場合、これまでの総務職の経験を活かすことができるからです。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある東証一部上場企業の人事職の求人募集になります。

上記の求人募集をかけている企業は、人事労務の実務経験者を採用したいと考えいることが分かります。総務事務をこなしつつ、採用業務や研修業務の経験を積み上げてきた方であれば、上記のような求人に応募することで、人事職への転職を実現できる可能性があります。

総務から経理職は経理事務の実務経験を活かすことが大切

また、企業によっては総務職で経理業務を扱うことがあります。総務事務をこなしつつ、現金出納・小口現金などの仕訳業務、月次決算・年次決算など経理に関わる業務経験がある場合は、経理職への転職を視野に入れることができます。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある中小企業の経理職の求人募集になります。

上記の求人募集を出している企業は、経理事務の実務経験者を採用したいと考えています。そのため、総務事務以外にも、仕訳業務や金融機関に関わる業務、決算業務などの経理事務を兼務してきた経験があれば、採用される可能性があります。

総務から営業事務への転職はPC操作スキルが不可欠

総務職からの転職先として選ばれることが多い職種の1つに営業事務(営業アシスタント)があります。従業員をサポートすることで仕事にやりがいを感じる点や事務手続きが中心となることでPC(パソコン)操作が多い点など、業務をこなす過程で共通する点が多くあるからです。

例えば、下記の求人票は東京にある中小企業の営業事務の求人募集になります。

上記の求人票のように、営業事務の求人募集では「基本的なPC操作スキル」を求める企業が非常に多いです。また、営業事務に対して高度なPC操作スキルを求める企業は少ないため、総務事務でこなしてきたPC操作スキルを役立てることができます。

さらに、営業事務は他業種からの転職者を積極的に採用する企業が多いため、総務から転職を考えている方にとってはチャレンジしやすい職種といえるでしょう。

総務から秘書への転職は同時並行で業務をこなせるスキルが必要

社長(経営者)に最も近い距離で働く秘書への転職も、総務での経験を活かせる職種の1つです。秘書の仕事内容は、社長のスケジュール管理、社長宛ての来客対応、電話・メール対応、出張の手配、出席する会議の参考資料作成、お茶出しなど非常に多岐に割る業務をこなします。

そのため、種類の違うさまざまな業務を同時並行で行うことができるスキルが重要となります。

例えば、下記の求人票は広島県に本社がある中小企業の秘書の求人募集になります。

上記の求人募集では、「複数の業務を同時並行でこなせるスキル、PC(パソコン)スキル、対人折衝(相手との利害関係の一致させること)経験」が必須条件となります。しかし、これらの経験は、業務が多岐に渡り、外部業者と取引内容や予算についてやり取りする機会が多い総務でも経験する機会が多いです。

また、大手企業の秘書の求人票では秘書業務の経験を求めることが多いですが、上記のような中小企業の求人募集であれば、秘書の経験がない方でも応募が可能な求人はあります。

ただし、企業によって秘書に求められるスキルは異なります。気になる秘書の求人がどのようなスキルを求めているのか、求人票の内容をよく確認した上で、応募するようにしましょう。

総務から営業職は課題解決の経験を最大限に活かす

「仕事の成果をより一層収入に反映してほしい」「業績を残して、将来的なキャリアを形成したい」といったような向上心の強い方には、営業職への転職がおすすめです。上記で紹介した営業事務と同じく、営業職は他業種からの転職者を積極的に採用している企業が多く、さらに転職した後の業績によっては年収アップを実現することができるからです。

また、日々の業務でさまざまな課題に向き合い解決策を考える総務職では、「どうすれば従業員がスムーズに業務を進められるのか?」を常に考えながら業務改善に取り組みます。

そのため、お客さんや法人の課題を把握して最適なサービスを提供する企画営業や提案営業であれば、たとえ他業種であってもそれまでの総務職の経験を活かすことができます。

例えば、下記の求人票は大阪府、京都府、兵庫県のいずれかが勤務地となる中小企業の営業職の求人票になります。

このように未経験でも応募が可能であり、これまでの総務事務の経験が活かせる提案営業の求人募集であれば、積極的にチャレンジしてみましょう。

なお、営業職では上記の求人票のようにインセンティブ評価を採用している企業が多いため、営業成績次第では収入アップを実現することができます。

他職種へ転職するための戦略を考える

なお、あなたが総務を辞めて異業種へ転職することを考えているのであれば、「なぜ、総務を辞めたいのか?」を真剣に考え、退職理由については前向きな印象を与える内容にするべきです。

退職理由は、必ず面接で聞かれることになるため、採用担当者が納得できる内容でなければ転職を実現させることができないからです。

例えば、採用面接で「なぜ総務職を辞めたいのか?」と質問されたときに、「残業が多く仕事がきついので、転職を希望している」といったようなネガティブな回答をしてはいけません。採用担当者はネガティブな退職理由を述べる応募者を採用したいと思わないからです。

このほか、総務から異業種へ転職を考える方のネガティブな退職理由として以下のようなものがあります。

  • 急な対応に追われることが多く、残業が多い
  • 雑務が多く、仕事のモチベーションを上げることができない
  • 1人だけで担当する業務が多く、責任やプレッシャーを感じる
  • 最小限の人数で組織されているため、有給が取得しづらい
  • 昇進や昇給スピードが遅く、給料が安い

このように、総務の仕事内容や職場を取り巻く環境によって悩みを抱えてしまう方が非常に多いのが現状です。

しかし、退職理由は採用担当者が納得できるような内容でなければいけません。そのため、退職理由は「その企業であれば、これまでの経験を活かしてキャリア形成を図ることができる」といったように前向きな内容でかつ、応募する企業にとって有益な人材であることを示さなければいけません。

そして、退職理由を志望動機にうまく結びつけて採用担当者を納得させることができれば、総務から他職種への転職を実現させることができます。

・転職先で活かせる総務の経験やスキルを洗い出す

まずは転職先で活かせるこれまでの総務事務の経験やスキルを洗い出すことから始めましょう。そうすることで、今まで気づかなかった自身の強みや転職先で活かせるスキルに気づくきっかけを作ることができます。

例えば、これまでの総務事務の経験を通して以下のような経験があれば書き出すようにしてください。

  • 経営者(社長)からの命令、上司からの指示で課題の調査や分析を行い、解決策を提案してきた経験
  • 上司、他の部署の従業員、外部業者、自社サービスに関わるお客さんからの要望に丁寧に対応し、業務改善を図ってきた経験
  • 企業の組織改革やイベントの企画に積極的に携わり、企業経営を推し進める一役を担った経験
  • Word、Excel、PowerPointなどのソフトウェアツールを使いこなして課題に取り組んだ経験
  • コツコツと地道な作業に取り組み続けて、目標を実現した経験

一例をいくつか紹介しましたが、あなた自身が総務で積み上げてきたオリジナルの経験をできるだけ具体的に洗い出すようにしてください。そして、印象に残っている経験や困難を乗り越えた経験がある場合は、必ず書き出すようにしましょう。

応募する異業種の企業が求める人物像を分析する

さらに、応募する異業種の企業が求める人物像を分析することも重要です。企業ごとに求人募集の実施に至る経緯が異なり、求める人物像が違うからです。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある大手企業の営業職の求人募集になります。

上記の求人募集では、採用する企業が求める人物像は「2年以上の営業経験者」であることが分かります。このような求人募集に、これまで総務事務しか経験したことがない人材が応募したとしても採用されることは難しいです。

一方、求人情報の中には総務から他職種への転職でも採用の可能性がある求人募集があります。

例えば、以下の求人票は全国転勤を前提とした中小企業の営業職の求人募集になります。

上記の求人募集であれば、たとえ総務事務しか経験したことがなくても応募が可能であり、採用される可能性があります。

このように、即戦力となる人材を募集する企業もあれば、将来的に企業経営の中心的な存在となる人材の獲得を目的としたポテンシャル採用を実施する企業もあります。

他職種の企業に応募する際は、その企業がどのような人材を求めているのか、求人票の内容や企業のホームページを分析し、理解を深めるようにしましょう。

総務から他業種へ転職するときの志望動機例

求人募集をかける企業の採用担当者が納得するような志望動機を作成するためには、これまでの総務事務の経験で身に付けたスキルと応募先の企業が求めるスキルを関連付けして一致させる必要があります。求人をかける企業の採用担当者は「なぜ、総務を辞めてうちの企業に転職したいのか」を知りたいと思っているからです。

例えば、下記の志望動機は総務職から営業職へ転職する場合の志望動機例になります。

顧客のニーズを最大限に引き出す営業ビジネスに挑戦したいと思い、御社を志望しました。

これまで務めてきた総務職では、さまざまな従業員からの要望を聞き、課題を解決するために全力で取り組んできました。しかし、総務職では、従業員に対する公平性を確保する観点から解決できない課題がいくつかありました。

そこで営業職であれば、公平性を気にすることなく相手の課題を解決するために全力でサポートできると考えました。

御社の営業職では、現場で活躍する先輩社員と仕事の成果について情報共有し、従業員全員が結果を出すことにコミットしていることを知り、魅力を感じました。ぜひ、私もそのような環境で、これまでの経験を活かせるビジネスに挑戦したいと考えています。

上記のような志望動機を作成することで、「なぜ、総務職から営業職へ転職したいのか?」「営業職でどのようなスキルを活かすことができるのか?」について、採用担当者に明確に伝えることができます。

しかし、どの企業にも通用する志望動機は存在しません。つまり、志望動機はこれまでの総務職での経験内容や、個々の企業が求める人物像によって変えなければいけません。そのため、上記の志望動機例はあくまでも参考程度にとどめるようにしてください。

未経験職種への応募は転職サイトの利用が必須

総務で働きながら未経験職種へ転職を考える中で、「どうすれば効率よく転職できるのか?」「どのような企業が自分に合っているか?」「どのようにして情報収集すればよいか?」と不安に思う方もいるでしょう。

そのような場合は、転職サイトへ登録して求人情報の幅を広げながら転職活動に取り組むようにしましょう。転職サイトへ登録することで、転職に関わる情報だけでなく、履歴書や職務経歴書の書き方のアドバイス、面談の練習、年収の交渉など幅広く対応してもらうことができます。

また、大手企業者や中小企業の非公開求人については、転職サイトへ登録しないと情報を手に入れることができません。特に、未経験職種へ転職を考えている方は、数ある求人情報の中から未経験でも応募が可能であり、さらに自身のこれまでの経験を活かせる企業を見つける必要があります。

そのため、総務から未経験職種へ転職を考えている方は、転職サイトを有効活用しながら転職活動に取り組むことが必須となります。

総務を辞めたい場合は、計画的に転職の準備を進める

総務から転職したいと考えている方の理由は人それぞれ違います。「仕事がきつい」「仕事が合わない」と思う方も中にはいるでしょう。しかし、ネガティブな理由で転職を考えている方は考え方を改めて転職活動に取り組まなければいけません。

また、総務は最小限の人数で構成されている部署であるため、なるべく職場に迷惑を掛けないように転職活動を計画的に進める必要があります。特に、総務から異業種へ転職する場合は、限られた時間の中で応募する企業を研究する必要があります。

しかし、総務から異業種への転職であったとしても、ネガティブに考える必要はありません。時間がかかるかもしれませんが、これまで積み上げてきた経験やスキルを活かすことができる企業は必ず見つかるはずです。

まずは、気になる企業がどのような人材を求めているのか、その企業でどのようなキャリアを積むことができるのか、求人募集をよく見て研究するところから始めるようにしましょう。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

しかし転職サイトに登録すれば、カウンセリング実施後にキャリアアドバイザーから転職条件に見合う求人を無料で紹介してもらえます。さらに履歴書や職務経歴書の添削、面談対策、転職条件の交渉まであなたの代わりに行ってくれます。

ただし、「多くの求人を紹介してくれる転職サイト」「カウンセリングに力を入れている転職サイト」「女性の転職支援に力を入れている転職サイト」など、選ぶ転職サイトによって特徴や強みに違いがあります。これらのことを理解した上で転職サイトを活用しなければいけません。

そこで以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの特徴や強みの違いを理解して活用すれば、事務転職の失敗を防ぐことができます。