営業から総務へ転職するにはどうすればよいのか真剣に悩んでいる人は多いでしょう。営業から総務への転職はキャリアチェンジになるため、未経験者として転職活動に取り組むことになります。

ただ総務の求人募集では、即戦力となる人材を求める企業が非常に多いです。そのような中で、未経験者でも活躍できることを自己PRすることは簡単ではありません。

また、総務の仕事はデスクワークが中心となるため、外勤中心の営業職とは全く異なる仕事内容をこなさなければいけません。そのため、営業と総務では求められる人材スキルが全く違うことを理解し、戦略的に転職活動に取り組む必要があります。

そこでここでは、営業から総務へ転職するための正しい知識や志望動機例について解説します。

営業と総務事務の仕事の特徴や性質の違い

これまで営業を経験してきた人が総務へ転職を考えるとき、仕事の特徴や性質の違いについて理解を深める必要があります。総務へ転職するために、「どのようなスキルが必要なのか」「総務に向いているのか」を見極めることに繋がるからです。

「総務はノルマがないから楽だろう」といったイメージだけで転職を考えているのであれば、その考えを改めなければいけません。総務はノルマがない地道な作業や気配り・気遣いが必要な場面が多いため、常に結果を追い求めてきた営業の仕事とは違う難しさがあります。

もし総務の仕事に対する自身のイメージと現実にギャップがある場合、転職して後悔することになります。そのような事態を避けるため、以下では営業と総務の仕事の特徴や性質の違いについて解説します。

会社の規模・経営方針で総務の仕事内容は変わる

まず、総務の仕事内容は会社の規模や経営方針で変わることを押さえる必要があります。転職後に経験する仕事内容は、その後のキャリア形成に大きく影響するからです。

中小企業やベンチャー企業など従業員が少ない企業では、総務の従業員数は1人だけであったり、数名で対応したりするケースが多いです。結果的に組織管理部門の従業員数が限られてしまい、総務以外の業務を兼務する企業が多いです。

例えば、下記の求人票は大阪に本社がある中小企業の総務人事の求人募集になります。

上記求人の中小企業へ転職した場合、総務関連の社内ファシリティー業務(施設運用管理、社内レイアウト管理など)や人事関連の給与計算、社会保険手続きなどの業務を担当することになります。

上記の求人例では人事を兼務するケースを紹介しましたが、このほかにも企業によっては経理、秘書、広報、情報(システム)管理などの業務を兼務する総務もあります。

そのため、中小企業やベンチャー企業の総務に転職した場合、業務の専門性を高めることよりも幅広く柔軟に対応できる事務スキルを身に付けることができます。

一方、大手企業は中小企業やベンチャー企業と比べて従業員数が多く、企業組織の活動スケールも大きくなります。結果的に総務の従業員だけでは総務以外の仕事に手が回らなくなるため、人事部や経理部など専門的に対応する部署が確立している会社が多いです。

例えば、私が過去に勤めていた大手企業では「総務部」「人事部」「経理部」「広報部」「財務部」「企画部」といった専門の部署があり、それぞれの部署の従業員が責任を持って担当の業務に取り組んでいました。

大手企業の総務では、他の専門部署で処理することができないすべての業務を担当します。大手企業の総務が担当する代表的な業務例として、株主総会運営事務、社内規程管理、ファシリティ―業務などがあります。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある大手建設会社の総務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、株式関係実務、株主総会実務、持株会実務、マネジメント(労務管理等)業務を担当することになります。株式を扱う事務は総務でしか経験できない事務手続きのため、このような求人へ転職することで専門的なスキルをさらに磨くことができます。

ただし、大手企業が中途採用で未経験者を採用することはほぼありません。そのため、まずは未経験でも転職できる会社へ転職し、総務事務の経験を積み上げてから大手企業の転職にチャレンジするのが現実的です。

また、大手企業であっても経営方針によっては上記求人票のように総務部が人事関係の仕事を兼務することもあります。そのため、求人票の仕事内容はしっかりと確認するようにしましょう。

社外向け(対外的)業務より、社内向け(対内的)業務が多い

なお、営業は社内向け(対内的)業務が中心であるのに対して、総務は社内向け(対内的)業務が中心となるため、仕事の性質が大きく異なることを理解しなければいけません。

例えば、総務が担当する業務に社内規程管理があります。企業組織の管理部門として総務が社内規程を管理することで、従業員がこなす仕事のルールやモラルを監視する役割を担いますが、このような業務も社内向け業務の1つといえます。

このほか、中小企業の総務が兼務する人事業務であれば、採用による人員の確保や人事異動による人員配置、経理であれば企業の財政状況の管理など企業組織の内部を管理する役目を担うことになります。

ただし社内向け業務が中心とはいえ、社外向け(対外的)業務も中にはあります。例えば、外部からの問い合わせに対する電話対応や施設を管理する委託業者との打ち合わせ、官公署への許認可申請手続きなどがあります。

このほか秘書がいない会社であれば、社長宛てに来客するお客さんの対応まで総務が対応することもあります。

以上のことから、営業から総務へ転職することを検討している人は、営業と総務の仕事の特徴や性質の違いを理解してから転職活動に取り組むようにして下さい。

営業から総務へ転職する前に知っておくべき4つの知識

営業から総務への転職は可能ですが、総務未経験者として転職活動に取り組むことになるため、簡単に転職が実現するわけではありません。そのため、どのようなことに注意しながら転職活動を進めるべきか事前に理解しておくことで、対策や心構えも変わります。

営業から総務へ転職する前に知っておくべきこととして、以下の内容を挙げることができます。

  • なるべく若いうちに転職に踏み切る
  • 未経験者よりも総務経験者が有利
  • 総務は募集枠が少なく、応募者が多い
  • 給料が下がることを覚悟する

上記内容について、順に解説していきます。

なるべく若いうちに転職に踏み切る

転職市場では年齢が若ければ若いほど需要があり、採用選考においても有利になります。もし転職後に総務で出世したいと考えているのであれば、なおさら早く総務に転職することを決断しなければいけません。

これまでにも説明したとおり、営業から総務への転職は未経験者の扱いになります。つまり、どれだけ前職の企業で営業成績が優秀であったとしても、転職先の総務で即戦力として活躍できるわけではありません。

また未経験者の場合、年齢が上がれば上がるほど書類選考も通過しにくくなります。企業によって求める人材に違いがあるので一概にはいえませんが、転職時の年齢で35歳を超えている場合、総務未経験者として転職を実現させることはあまり現実的ではありません。

同じ総務未経験者を採用するのであれば、できるだけ教育コストの負担が少ない20代や30代前半の若い転職希望者を企業は採用することになります。

未経験者よりも総務経験者が有利

求人を募集する多くの会社が、即戦力となる人材を確保したいと考えています。そのため、これまで総務・人事・経理などの業務を経験し、即戦力として期待される総務経験者の方が有利であるといえます。

しかし、営業から総務への転職が未経験といった理由だけで転職できないかというとそうではありません。総務の求人募集の中には、総務が未経験者でも応募可能な求人があります。

例えば、下記の求人票は東京に本社がある中小企業の総務人事の求人募集になります。

このように総務未経験者が応募可能な求人では、即戦力ではなくても将来的に活躍しそうなポテンシャルの高い応募者がいれば、採用することも視野に入れています。そのため、総務未経験者の人は上記求人のように未経験でも応募が可能な求人を積極的に探すようにしましょう。

ただし、総務未経験者が応募可能だからといって転職しやすい訳ではありません。総務未経験者が応募可能な求人であっても総務経験者が応募してくる可能性は十分にあるため、気を緩めずに採用選考に挑みましょう。

総務は募集枠が少なく、応募者が多い

営業職であれば同時期に複数名を募集する求人を見かけることがあります。しかし、総務の中途採用で同時期に複数名を募集する求人はありません。基本的に総務で増員募集や欠員募集が生じたとしても、募集する人数1名です。

総務は直接会社利益に貢献する部門ではないため、必要最小限の人員しか配置されません。そのような総務のポジションで増員募集や欠員募集が出る確率は他の職種と比べても低いのが現状です。

また、営業の成績が思わしくない人や会社の方針で将来の幹部候補生が総務に異動することもあります。人事異動なので自身の意志ではありませんが、そのような経緯で総務の仕事に就く人も中にはいます。

このように人事異動で総務のポストを埋める会社は求人募集をかけることがないため、総務の募集枠が少なくなる要因ともいえます。

このほか、応募者が多いことも総務の転職が難しい要因となっています。厚生労働省の発表によると、2018年平均の有効求人倍率が1.61倍となっている一方で、総務を含む一般事務職の有効求人倍率は0.37倍とかなり低く、非常に人気のある職種であるといえます。

なお、総務は営業と比べて計画的に仕事を進めることができるイメージを持っている人が多いです。そのため、プライベートを充実させたい女性からも非常に人気が高い職種となっており、応募が殺到します。

給料が下がることを覚悟する

「できるだけ年収を下げずに総務に転職したい」と考えてしまう人が多いですが、総務は営業と違って利益を追求する部門ではないため、平均的な年収になります。

また営業からのキャリアチェンジで総務に転職する場合、未経験者として採用されるため、給料が下がることは覚悟しなければいけません。

例えば、以下は転職サイトのdoda(デューダ)が2017年の1年間で調査した総務の平均年収の結果です。年収の金額については情報にバラツキがありますので、参考程度にしてください。

全体平均 466万円
男性平均 513万円
女性平均 382万円
20代平均 352万円
30代平均 435万円
40代平均 539万円
50代平均 665万円

上記のデータでは、20代の平均年収が352万円、30代の平均年収が435万円となっています。ただし女性の場合は出産や育児を優先して時短勤務を取得したり昇任を避けたりする人が多いため、男性よりも平均年収は低い傾向にあります。

このことから、歩合制やインセンティブ制度が導入されていた会社で働いていた営業の人であれば、年収は下がる可能性があります。

また、求人を募集する企業によって採用条件は違うため、転職する企業によって年収は変わります。例えば、下記の求人票は東京に本社がある中小企業の総務の求人募集になります。

上記求人の企業へ転職した場合、年収の条件は「301~350万円」となります。このように幅を持たせて年収が記載されている場合、総務未経験者は301万円となる可能性が高いです。総務の実務経験者でない以上、転職時に上限の年収で採用されることはないと考えましょう。

求人票には転職したときの給料が目安として記載されています。そのため、給料が気になる人は必ず転職先の給料の目安を確認してください。

営業からの転職者で総務事務に適している人材とは

また営業から総務に転職すると決断しても、自身が総務に転職する人材として適しているのか気になる人もいるでしょう。あらかじめ総務に適した人材であるか知ることは、転職に踏み切るかどうかの判断材料になります。

以下の内容は、実際にどのような人材が総務の転職者として適しているのかを列挙したものになります。

  • 長時間のデスクワークが苦にならない
  • ルーティンワークをそつなくこなせる
  • 周りの人と協力しながら仕事を進めることに違和感がない

上記の項目に当てはまらないと総務の仕事に向いていない訳ではありません。以下で述べることを参考に考え方を変えて行動すれば、総務に適した人材へ近づくことができます。

以下、順に解説していきます。

①長時間のデスクワークが苦にならない

総務では、基本的にパソコンに向き合って仕事をこなすことになります。そのため、営業のように外出する機会が非常に少ないのが現状です。

実際には何時間もパソコンと向き合い、資料の作成や会社のシステムを利用した契約手続きを行うことになります。このような地道な作業を苦に感じてしまう人は、総務の仕事に向いていないといえます。

私の経験上ですが、パソコンに向き合う時間が長ければ長いほど時間の進み具合が遅く感じることがあります。どうしても集中力が続かないときは「終業まであと2時間もあるのか」と感じることもあります。

ただし総務は、社内研修や社内イベント(社員旅行、スポーツ大会などのレクリエーション)の準備や突発的に入る会議の対応に追われることも多いです。そのため、一般事務や営業事務よりもデスクワーク以外に時間を費やす場面が多いといえます。

②ルーティンワークをそつなくこなせる

またデスクワークでこなす事務作業は、基本的に社内規程や企業マニュアルで定められたルールに沿って進めることになります。

例えば、備品の購入手続きや稟議書(起案書・立案書)の作成は、社内規程で定めている契約事項やルールに基づいて手続きを行うことになります。

営業のように売上げを上げるために、お客さんの都合に合わせてサービス内容を変更するなど、幅を持たせて仕事を進めることはできません。

そのため、いくら仕事手順について効率が悪いと思ったとしても社内規程で決まっている以上、規程を優先することになります。

③周りの人と協力しながら仕事を進めることに違和感がない

個人的な成果(結果)だけを追求する人は総務の仕事に向いていないといえます。出世欲が強いことが悪い訳ではありませんが、総務の仕事は周りの従業員と協力しながら進める場面が非常に多いからです。

例えば、他の従業員が担当する会議の会場設営の負担が大きい場合、たとえ担当ではなくても進めている仕事を止めて手伝うような場面があります。

このようなときは自身の仕事を優先せずに、協力することを優先しなければいけません。そうすれば、逆に自分が困ったときに周りの従業員が手助けしてくれます。

総務の仕事は担当者ごとに割り振られるのが一般的なので、1人だけで仕事をこなすことが基本です。ただし、周りの従業員と協力しながら仕事を進めることに違和感を感じる人は、総務の仕事を続けることが苦痛になります。

営業から総務に転職するための自己PRや志望動機の書き方

営業から総務へ転職しようと覚悟を決めたものの、中々書類選考に通過しないことがあります。

未経験者として応募する場合、採用担当者の目に留まるようなアピールポイントを盛り込んだ履歴書や職務経歴書を作成しなければいけません。

特に志望動機は書類選考の通過を左右する非常に重要な部分となります。転職希望者が応募した理由や動機が記載されており、採用担当者が最も知りたい情報でもあるからです。

まず採用担当者は「これまで営業の仕事をしてきた人が、なぜ急に総務の仕事に転職したいのか?」と疑問に思います。その疑問に対する明確な志望動機を作成し、採用担当者を納得させることができなければ採用されることはありません。

また、社内・社外関係なく人と接することが多い総務はコミュニケーション能力が重要と認識している人が多いですが、社会人であればどのような仕事でもコミュニケーション能力は必要となります。そのため、コミュニケーション能力があることを自己PRしてもあまり意味がありません。

それよりも、「営業でどのような経験をしてきて何を考えてきて行動してきたのか、その経験を転職先でどのように活かしたいのか」を自身の経験に基づいて自己PRしなければ、採用面接官が納得する志望動機にはなりません。

以下の志望動機の例文は、法人営業を経験してきた社会人が総務に転職することを想定して作成した志望動機例になります。

提案力を活かせる総務職で働きたいと思い、志望しました。現職の法人営業では取引先の企業ごとに「どのような提案がベストなのか」を常に意識しながら解決策を提案してきました。

総務職は、目の前の相手だけでなく、さらに広い視点で組織の業務改善に取り組んでいることを知り、以前から興味を持っていました。

従業員のアイデアを積極的に採用している貴社であれば、私がこれまでの業務で培った提案力を最大限に活かせると思っています。

アピールポイントを提案力に絞ることで、面接官に自身の強みが何であるかを印象付けることができます。さらに、「強みを活かせると思ったので応募した」と自己PRすることで、一貫性のある志望動機となります。

上記の志望動機例は法人営業から総務の転職を想定していますが、中には個人営業、新規開拓営業、ルート営業など同じ営業でも立場によって経験内容や転職理由(退職理由)は変わります。そのため、それぞれの経験に基づいたオリジナルの志望動機を作成することがポイントになります。

なお、これまでの業務経験の内容は人それぞれ違い、応募する企業によって求める人材も異なるため、志望動機の内容や転職理由は応募する企業によって変える必要があります。そのため、上記の志望動機の例文は参考程度にしてください。

正しい知識で総務へ転職し、キャリアを形成する

ここで述べてきた正しい知識を理解して総務の転職に挑めば、営業からの転職を実現させてキャリアを形成していくことは可能です。

総務の求人票の中には即戦力ばかりでなく、未経験者であったとしても将来的に活躍しそうな人材がいれば採用したいと考えている会社もあります。そのため、未経験者でも応募が可能な求人を探し、積極的に応募するようにしましょう。

ただし、総務事務に関しては未経験者の立場であることを踏まえなければいけません。いくら営業で優秀な人材であったとしても、総務事務については初心者であることを認識しなければいけません。

また、どのようにして自身に見合う求人を見つければよいのか不安になる人や求人の正しい探し方が分からない人もいます。そこで複数の転職サイトに登録して、応募する求人の幅を広げながら転職の準備を進めていきましょう。

転職理由は人によって違いますが、少なからず営業では実現できなかったことを総務へ転職して実現したいと思っているはずです。もし総務に転職したい強い気持ちがあるのであれば、ここで述べたことを整理し、最後まで諦めずに転職活動に取り組みましょう。

事務転職で失敗しない転職サイトの活用法とは

事務転職を考えるとき、多くの人が転職サイトを活用します。ただ事務職は倍率が高く、簡単には転職できません。自力で転職先を探そうとしても、1件1件求人を見極めるには相当の労力を使います。またエントリー書類(履歴書・職務経歴書)の作成や面談対策、転職条件の交渉まで自ら行う必要があります。

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